
この記事では、脳の疲れと頭痛の関係を解説します。結論は、脳が疲れたとき、先に働かなくなるのがアクセルではなくブレーキだからです。脳は体に向かって「抑える指令」を3本送り続けています。その指令がゆるむと、痛みを感じやすくなり、筋肉も張ったままになります。
「忙しい日が続くと、決まって頭が痛くなる」
「体は動かしていないのに、夕方にはぐったりしている」
「考えることが多い日ほど、肩も頭も重い」
そんなお悩みがある時には、このブログがお役に立てると考えています。
結論からお伝えします。脳が疲れたとき、先に働かなくなるのはアクセルではなく、ブレーキのほうです。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
「疲れているから頭が痛い」。よく聞く言葉ですし、その通りなのですが、体の中で何が起きているのかまでは、あまり知られていません。今日はそこをお話しします。
脳から体へは、どんな指令が降りているのでしょうか?

脳から体へは、絶えず指令が降りています。
「動かす」指令だけではありません。「抑える」指令も、同じように送られ続けています。頭痛に関わるのは、次の3本です。
1本目は、痛みの音量を絞るブレーキです
体のどこかで起きた痛みの信号は、背骨の中を通って脳へ上がっていきます。
このとき脳からは、その入口に向かって「そこまで大きく伝えなくていい」という指令が降りてきます。テレビの音量つまみを絞るようなものです。
だから、同じだけ刺激があっても、このブレーキが効いていれば痛みとして感じずに済みます。
2本目は、筋肉の張り具合を決めるブレーキです
筋肉は、休んでいるときもわずかに張っています。車でいえばアイドリングです。
この回転数をどれくらいにしておくかを、脳が上から決めています。脳が落ち着いていれば、アイドリングは低く保たれます。
3本目は、体を緊張させすぎないためのブレーキです
自律神経のうち、緊張する側(交感神経)が出過ぎないように抑えている指令です。
脳が落ち着いていれば、交感神経は必要なときだけ働きます。会議の前や、急いでいるとき。そうした場面で出て、終われば引っ込みます。この「引っ込ませる」ほうを、脳が上から支えています。
補足(少し専門的な話です)
背骨の中には、交感神経の出発点になる細胞の集まりがあります。中間外側核(ちゅうかんがいそくかく、IML)と呼ばれる場所です。脳からこの場所へ向かって指令が降りていて、その届き方が弱まると、交感神経が出過ぎる側に傾きます。
この3本が効いているあいだは、多少の首肩のこりがあっても頭痛にはなりません。痛みの音量は絞られ、筋肉のアイドリングは低く、体も静かなままだからです。
脳が疲れると、何が起きるのでしょうか?

この3本が、同時にゆるみます。
お酒を飲むと気が大きくなりますね。あれと同じです。脳は普段、いろいろなものを抑えて静かにさせています。疲れたとき、先に落ちるのは「抑える働き」のほうです。
すると、こうなります。
- 痛みの音量が絞れなくなる——今までなら感じずに済んでいた首や肩からの信号が、そのまま頭の痛みとして届くようになります
- 筋肉のアイドリングが上がりっぱなしになる——力を抜いているつもりでも、体が身構えたままになります
- 交感神経が出過ぎる——血管が細くなり、呼吸が浅く速くなります
「同じ仕事量なのに、疲れている日だけ頭が痛い」。その理由がここにあります。首や肩の状態は、前の日とそれほど変わっていません。変わったのは、ブレーキの効き具合のほうです。
なぜ、体を動かしていないのに脳が疲れるのでしょうか?
脳は、体の中でいちばんエネルギーを使う場所だからです。
仕事の段取り、子どもの予定、言われた一言が気になって離れない。体は座ったままでも、頭はフル回転しています。動いていないから疲れていない、ということにはなりません。
むしろ、体を動かしていないぶん、血の巡りも呼吸も浅いままです。エネルギーを作りにくい状態で、脳だけが使い続けている。この組み合わせがいちばんこたえます。
3本目がゆるむと、そのあと何が続くのでしょうか?
いちばん手ごわい流れが始まります。
- 血管が細くなり、血の巡りが悪くなる
- 血流が落ちるので、酸素も届かなくなる
- 呼吸が浅く速くなり、もっと緊張する側へ傾く
エネルギーが足りないから抑えが落ちて、抑えが落ちるからエネルギーがさらに届かなくなる。ぐるぐる回る構造になっています。
だから、こりをもみほぐすだけでは戻ってしまいます。もんでも、上から降りてくる指令が「張っていろ」のままだからです。「肩や首は、強くもんでもらうほど良くなるのでしょうか?」で詳しくお話ししています。
こんなときは、医療機関を受診してください
疲れが原因だと思っていても、次のような場合は別です。すぐに受診してください。
- 突然、経験したことのない激しい頭痛が起きた
- 発熱があり、首の後ろが固まって前に曲げられない
- ろれつが回らない、片側の手足がしびれる、物が二重に見える
- いつもの頭痛と、痛み方や場所が明らかに変わった
今日からできることはありますか?

息を吐くほうを、長くしてください。
呼吸は、ご自分でブレーキ側に働きかけられる、数少ない入口です。吸うときは緊張する側、吐くときはゆるむ側。だから、吐く時間を長くすると、体はゆるむ側へ傾きます。
やり方はかんたんです。
- 鼻から3秒かけて吸う
- 口をすぼめて、6秒かけてゆっくり吐く
- これを5回
吸う:吐く=1:2です。回数を増やす必要はありません。5回で十分です。
おすすめのタイミングは、仕事が一段落したときと、寝る前です。頭が回りっぱなしのまま布団に入る方は、特に寝る前を試してみてください。
まとめ
- 脳からは「動かす」指令だけでなく「抑える」指令も降りています
- 1本目は痛みの音量を絞るブレーキ、2本目は筋肉のアイドリングを決めるブレーキ、3本目は交感神経を出過ぎさせないブレーキです
- 脳が疲れると、先に落ちるのは抑える働きのほうです
- だから、同じ仕事量でも、疲れている日だけ頭が痛くなります
- 息を吐く時間を長くすると、ブレーキ側に働きかけられます
「疲れているから」で片づけられてきた頭痛にも、体の中ではちゃんと理由があります。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人

作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
参考文献・引用元
- Jerath R, Edry JW, Barnes VA, et al. Physiology of long pranayamic breathing: neural respiratory elements may provide a mechanism that explains how slow deep breathing shifts the autonomic nervous system. Med Hypotheses 2006;67(3):566-571.






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