
この記事では、強い刺激で肩や首をもむことについて解説します。結論は、強くもむほど良いわけではありません。その場で楽になっても、筋肉がゆるんだのではなく、感じ取る神経が一時的に鈍っているだけのことがあります。傷んだところを修復するために、体はエネルギーを使うからです。
「強くもんでもらわないと、もんだ気がしない」
「痛いくらいのほうが、次の日に楽になる気がする」
「もんでもらった直後はいいのに、2〜3日で元に戻る」
そんなお悩みがある時には、このブログがお役に立てると考えています。
結論からお伝えします。強くもむほど良くなる、ということはありません。むしろ、頭痛でお困りの方には向きません。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
当院にお越しになる方から、「もっと強くしてもらっていいですよ」と言われることがあります。気持ちはよく分かります。ただ、私はそこで強さを上げません。理由があるからです。
強くもむと、その場で楽になるのはなぜでしょうか?
たしかに、その場は軽くなります。
ただ、そのとき体の中で起きていることは、2つ考えられます。ひとつは、筋肉の張りが実際にゆるんだこと。もうひとつは、感じ取る側の神経が刺激を受けすぎて、一時的に感じられなくなっていることです。
後者は、ゆるんだのではありません。必要な信号まで届かなくなった状態です。
見分けがつきにくいのが、やっかいなところです。どちらも「楽になった」と感じるからです。
強い刺激は、体の中で何をしているのでしょうか?

鶏肉を思い浮かべてください。
パックの鶏肉を、指で何度も強く揉みしだくとどうなるでしょうか。繊維がほぐれて、やがてミンチのようになります。もとの形には戻りません。
人の体も、同じ材料でできています。強い力が繰り返し加われば、細い神経の線維や、筋肉の線維が傷みます。
そして、ここからが大事なところです。
傷んだところを修復するために、体はエネルギーを使わなければなりません。
もんでもらった翌日にだるくなる、眠くなる、という方がいらっしゃいます。体が修復にまわっているサインかもしれません。
なぜ、頭痛の方に強い刺激が向かないのでしょうか?

頭痛でお困りの方は、ただでさえエネルギーが足りていないことが多いからです。
筋肉は、縮むときだけでなく、力を抜くときにもエネルギーを使います。作る力が落ちていれば、使った筋肉は縮んだまま戻りません。ここに修復の仕事を増やしても、良くなる方向には向かいません。
もうひとつ理由があります。
私たちの体には、抑える働きが3つ備わっています。痛みの音量を絞る働き、筋肉の張りを抑える働き、そして自律神経の緊張を抑える働きです。頭痛が長く続いている方は、この3つが効きにくくなっていることがあります。
抑えが効きにくいところへ強い刺激を入れれば、どうなるか。体はさらに身構えます。
だから当院では、気持ちよく受けていただける範囲で行います。気分の問題ではありません。良くなる道すじの問題です。
では、どれくらいの強さがちょうどよいのでしょうか?
目安はひとつです。「気持ちいい」で止めること。
「痛気持ちいい」は、もう強すぎます。そこを越えると、体は身構えます。身構えた体には、届けたい情報が届きません。
ご自分でもむときも同じです。親指をぐっと食い込ませたくなりますが、我慢してください。さすって、温かくなる程度で十分です。
痛み止めや湿布は、やめたほうがよいのでしょうか?
いいえ。やめる必要はありません。
痛み止めも湿布も、痛みの信号を一時的に抑えるものです。原因そのものを変えるものではありません。ただ、だからといって我慢する理由にはなりません。つらいときに助けてもらうのは、大切なことです。
お伝えしたいのは、付き合い方です。
痛みがあるときに使う。これで十分だと考えています。自己判断でやめたり、逆に飲む回数を増やしたりせず、処方された先生や薬剤師さんにご相談ください。
なお、痛み止めを飲む回数が多くなりすぎると、かえって頭痛が起こりやすくなることが知られています(薬剤の使用過多による頭痛)。回数が増えてきたと感じる方は、一度かかりつけの先生にご相談ください。
自分でできることはありますか?

もまずにゆるめる方法があります。
首を横に倒して、10秒待ってください。
やり方はかんたんです。椅子に座って、右手を頭の左側に軽くそえます。そのまま首を右に倒します。手で引っぱらないでください。手は添えるだけです。頭の重さだけで、じゅうぶん伸びます。
左の首すじが伸びている感じがしたら、そこで10秒。息は止めずに、ゆっくり吐きながら。終わったら反対側も同じように。
1日に何度やっても構いません。痛みを感じるところまで倒さないでください。伸びて気持ちいいところで止めるのが、いちばん効きます。
まとめ
- 強くもむほど良くなる、ということはありません
- その場で楽になっても、感じ取る神経が一時的に鈍っているだけのことがあります
- 強い力が繰り返し加わると、細い線維が傷みます。修復にエネルギーを使います
- 頭痛の方はもともとエネルギーが足りていないので、強い刺激は向きません
- 目安は「気持ちいい」で止めること。「痛気持ちいい」はもう強すぎます
強くしてもらうほど良くなる気がするのは、自然なことだと思います。ただ、体の側から見ると、逆のことが起きていることがあります。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人

作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上、のべ約18万人の施術を担当
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
参考文献・引用元
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修、「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会 編集『頭痛の診療ガイドライン2021』医学書院、2021年(第Ⅵ章 薬剤の使用過多による頭痛)






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