
「子どもが転んで膝を打ったんです。すぐ冷やした方がいいですよね?」
「足首をひねったみたいで、腫れてきました。どれくらい冷やせばいいでしょうか」
「保冷剤しか家にないんですけど、それでも大丈夫ですか?」
こういったご質問を、患者さまから本当によくいただきます。
ケガをした直後は、ゆっくり調べている時間もありません。
ましてやお子さんのこととなると、なおさら気持ちが焦ります。ご家族の分まで気を配りながら毎日を過ごされている方にとって。「冷やすか、温めるか」は、先に答えを知っておきたいことのひとつだと感じています。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
今日は、私が患者さまにお伝えしているアイシングのやり方を、そのままお話ししていきます。
この記事の要約
このブログでは、ぶつけた・ひねったケガをしたときのアイシングのやり方をご紹介しています。
結論は、次のとおりです。
- ぶつけた・ひねった心当たりがあり、触ると熱い。このときは冷やしてください
- 冷やすのは1回15分から20分。次は1〜2時間空けます
- 保冷剤ではなく、氷に少し水を足したものを使ってください
- アイシングは治療ではありません。痛みをやわらげるための応急手当てです
この記事を読むと得られること
- 冷やすときと温めるときの見分け方がわかる
- ご自宅で安全にアイシングをする手順がわかる
- 何分冷やせばよいか、何回まで冷やしてよいかがわかる
- お子さんのケガで医療機関にすぐ相談した方がよい状態がわかる
それでは、一緒に見ていきましょう。
ケガをしたときは冷やす?温める?まず何を見ればいい?
先に結論をお伝えします。
判断のものさしは、次の2つです。
- ぶつけた、ひねった、転んだ、という心当たりがあるか
- 痛いところを手で触って、熱く感じるか
この2つに当てはまるときは、冷やしてください。ズキズキとうずいて辛いときの応急手当てとして役に立ちます。
表にすると、こうなります。
| こんなとき | どうする |
|---|---|
| 転んで膝を打った/足首をひねった | 冷やす |
| スポーツでぶつかって痛めた | 冷やす |
| 触ると熱を持っていて、ズキズキうずく | 冷やす |
| 朝起きたら首が回らない(寝違え) | 温める |
| 荷物を持った瞬間に腰が抜けた(ぎっくり腰) | 温める |
迷ったときは、まず痛いところに手を当ててみてください。熱を持っていれば冷やす、そうでなければ温める。 これが、いちばんシンプルな目印です。
💡 ぎっくり腰や寝違えのときは、冷やすより温めることをおすすめしています。
ぶつけた心当たりがないのに急に痛くなったとき。その理由と温め方については、別の記事で詳しくお話しします。
この記事では、冷やす側、つまりぶつけた・ひねったケガのアイシングについてお話ししていきます。
子どもがケガをしたときは、なぜ冷やすといいの?
お子さんが転んだ、ぶつけた、足首をひねった。こういうときは、体の組織そのものが傷ついています。
赤くなって腫れて、熱を持ちます。これが炎症です。
痛みが強くて辛そうなときには、応急手当てとしてアイシングを1回か2回していただくのはおすすめです。 冷やすと、その場の痛みがやわらぎます。
痛みが下がれば、そのあと安静にすることも、病院に連れて行くことも、ぐんとやりやすくなります。泣き止まないお子さんが、少し落ち着いてくれる。それだけでも十分に意味があります。
自宅でアイシングをするときの正しいやり方は?

アイシングは、やり方を間違えると凍傷を起こすことがあります。体の回復を妨げてしまうこともあります。
そこで、ご自宅でアイシングをするときの手順をまとめました。順番は4つです。
1. 痛めたところを動かさないようにする
まず、痛めた場所を動かさないように固定します。固定が難しければ、安定する場所に置くだけでも構いません。
2. 氷を袋に入れて、少し水を足して冷やす
ビニール袋に氷を入れます。そこに水を少しだけ足してください。 そのまま、腫れや痛みのある部分に当てます。
3. タオルや包帯で、やさしく圧迫する
冷やしながら、ラップや包帯、もしくはタオルで適度に押さえます。力加減は、痛くない程度を心がけてください。強く締めすぎないようにしてください。
4. 心臓より少し高い位置に上げる
痛めたところを、心臓より少し高い位置に上げます。上を向いて寝ながら冷やすのであれば、痛めた場所が心臓より高くなるように、クッションなどで持ち上げてください。
この「動かさない・圧迫する・高く上げる」の3つ。実はスポーツ外傷の分野で世界的に読まれている論文でも、すすめられている方法と一致しています。冷やすことよりも、むしろこの3つの方が土台になる手当てです。
参考文献:
- Dubois B, Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. British Journal of Sports Medicine. 2020;54(2):72-73.
アイシングは何分くらい?何回まで?
1回につき15分から20分を目安に冷やしてください。
もう一度冷やすときは、1時間から2時間ほど間を空けます。 触ってみて、患部の温度が戻っているのを感じたときに行ってください。
スポーツの現場で痛めたときは、少しやり方が変わります。15分から20分冷やしたあと、5分から10分ほど間を置いて、もう一度冷やす。この方法をおすすめしています。
何日も冷やし続ける必要はありません。痛みが強くて辛い間の応急手当てとお考えください。
保冷剤やアイスノンではなく、なぜ氷を使うの?
保冷剤やアイスノンではなく、氷を使ってください。
理由は凍傷を防ぐためです。
保冷剤は0度よりもずっと低い温度まで冷えます。それを肌に長く当てていると、皮膚が傷んでしまいます。お子さんの皮膚は大人よりも薄いので、なおさら気をつけたいところです。
一方、氷に少し水を足したものは、氷が溶けきるまで0度前後で落ち着きます。冷たすぎず、それでいてしっかり冷える。この安定した冷たさが、痛みをやわらげるのにちょうどよいと考えています。
冷凍庫に氷がないときは、無理に保冷剤を長く当てないでください。タオルで包んで短めに当てるか、まずは動かさないようにして高く上げる。この2つだけでも手当てになります。
アイシングは、冷やせば早く治るの?
ここは正直にお伝えしておきたいところです。
冷やすと早く治る、という強い根拠は、実はまだ見つかっていません。
先ほどご紹介した論文には、こう書かれています。「軟部組織のケガの治療における氷の有効性について、質の高い根拠は存在しない」。それどころか、冷やしすぎると組織が治っていく過程を妨げる可能性まで指摘されています。
引用箇所: “Despite widespread use among clinicians and the population, there is no high-quality evidence on the efficacy of ice for treating soft-tissue injuries.”
日本語訳: 医療者にも一般の方にも広く使われているにもかかわらず、軟部組織のケガの治療における氷の有効性について、質の高い根拠は存在しない。
では、アイシングは意味がないのでしょうか。
私はそうは考えていません。目的を「治すため」ではなく「痛みをやわらげるため」に置けば、アイシングは今も十分に役に立つ手当てです。
痛くて眠れない。痛くて歩けない。お子さんが泣き止まない。そういうときに、その場の痛みを下げてあげられることには大きな意味があります。
アイシングについては、必要だという意見と、必要ないという意見の両方があります。私は、状況に合わせて使うものだと考えています。 選手が試合や練習でケガをした現場では、アイシングは大切です。一般の方でも、ぶつけた・ひねった・痛みが強い、というときには応急手当てとして使っていただいてよいと思っています。
アイシングは、あくまで応急手当てです
ここは大事なところなので、もう一度お伝えします。
アイシングは応急手当てであって、治療ではありません。
ケガをしたときには、かかりつけの先生や、現場にいるトレーナー、指導者、もしくはお近くの医療機関にご相談ください。冷やして痛みが引いたからといって、そのままにしないでいただきたいと思います。
子どものケガで、すぐに医療機関へ行った方がいいのはどんなとき?

冷やすかどうかを考える前に、まず病院で診ていただいた方がよい場合があります。
- 見た目が変形している
- 腫れがひどい
- 痛がって体重をかけられない、動かせない
- 時間がたつほど痛みが強くなる
- 頭を打った、意識がぼんやりしている、何度も吐く
これらに当てはまるときは、冷やす・温めるの前に、整形外科や医療機関を受診してください。特に頭を打ったときは、様子を見ずにすぐ受診をお願いします。
よくあるご質問
Q. 冷やすのを忘れてしまいました。もう手遅れでしょうか?
A. ご安心ください。「ケガをして6時間以内に冷やさないと治りが悪くなる」という説を裏づける、質の高い研究は見つかっていません。時間がたっていても、痛みが強くて眠れない、動けないというときには、冷やして痛みをやわらげる意味はあります。
Q. 子どもがひねった足首は、いつまで冷やせばいいですか?
A. 1回15分から20分、1時間から2時間空けて、様子を見ながら1回か2回で十分なことが多いです。何日も冷やし続ける必要はありません。腫れや痛みが引かないときは、整形外科でみていただいてください。
Q. 湿布は温感と冷感、どちらを貼ればいいですか?
A. ぶつけた・ひねったケガで熱を持っているときは冷感を目安にしてください。ただし湿布の温感・冷感は、実際の皮膚の温度を大きく変えるものではありません。貼ってみて心地よい方を選んでいただくのがよいと思います。
Q. 冷やしたあと、お風呂に入っても大丈夫ですか?
A. 痛みが強く、患部が熱を持っている間は、湯船につかるのは控えていただくのが無難です。シャワーで済ませていただくか、痛めたところを長く温めないようにお願いします。
Q. 冷やしていたら感覚がなくなってきました。続けていいですか?
A. いったん外してください。感覚がなくなるほど冷やす必要はありません。皮膚が白っぽくなる、しびれる。こうした変化があるときは、すぐに冷やすのをやめてください。
ぎっくり腰や寝違えのときは、どうすればいい?
ここまでは、ぶつけた・ひねったケガのお話でした。
ところが、同じ「急に痛くなった」でも、ぎっくり腰や寝違えは事情が変わります。ぶつけた心当たりがないからです。
こういうときに冷やしてしまうと、かえって痛みが長引くことがあります。私は、温めることをおすすめしています。
💡 ぎっくり腰や寝違えた時の判断については、別の記事で詳しくお話しします。
なぜ温めた方がよいのか、体の中で何が起きているのか、温め方の具体的な手順まで。公開しましたら、こちらからご案内します。
まとめ

ぶつけた・ひねったケガのアイシングについて、まとめます。
- 心当たりがあり、触ると熱い。このときは冷やしてください
- 手順は動かさない → 氷に少し水を足して冷やす → やさしく圧迫する → 心臓より高く上げる
- 1回15分から20分。次は1〜2時間空けてから
- 保冷剤ではなく氷を使う(凍傷を防ぐため)
- アイシングは治療ではなく、痛みをやわらげるための応急手当て
そして何より、痛いところに手を当ててみること。 熱いか、そうでないか。ご自身の手で確かめる。それがいちばん確かな目印になります。
痛みが長引くとき、繰り返すときは、どうぞお早めにご相談ください。早めにお越しいただくほど、回復までの道のりも短くなります。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。
皆さまとご家族が、痛みや不調に悩まされることなく、笑顔で毎日を過ごせますよう、心よりお祈りしております。
こころ鍼灸整骨院
兵庫県小野市
WEB予約:https://kokoro-ono.com/webyoyaku
TEL:0794-73-8630
参考文献・出典
- Dubois B, Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. British Journal of Sports Medicine. 2020;54(2):72-73. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31377722/
※ 本記事のうち、氷と保冷剤の使い分けについての記述、およびアイシングの目的についての考え方。これらは当院での施術経験にもとづく院長の見解です。医学的な診断や治療に代わるものではありません。症状や効果の感じ方には個人差があります。気になる症状が続く場合は、医療機関にご相談ください。
監修 柔道整復師 鍼灸師 作尾大介






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