
この記事では、頭痛の検査で「異常なし」と言われる理由を解説します。結論は、「異常なし」は「原因がない」という意味ではないからです。画像検査は、命に関わる病気を見つけるためのものです。写真に写らない原因は、そこには写りません。
「病院で検査をしたけれど、異常はないと言われた」
「異常がないなら、この痛みは何なんだろう」
「気のせいだと思われている気がして、それ以上は聞けなかった」
そんなお悩みがある時には、このブログがお役に立てると考えています。
結論からお伝えします。「異常なし」は、「原因がない」という意味ではありません。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
当院にお越しになる頭痛の方から、この話をよく伺います。検査で異常がないと言われて、かえって行き場をなくしてしまった、と。
まず、お伝えしたいことがあります。検査を受けられたのは、とても良い判断でした。
「異常なし」は、どういう意味なのでしょうか?
「危険な病気は見つからなかった」という意味です。
頭痛の検査では、まず命に関わるものを探します。脳の出血、腫瘍、血管の異常。こうしたものが隠れていないかを確かめるのが、画像検査の役目です。
そして「異常なし」は、それらが見つからなかったという結果です。
これは、とても大きな安心材料です。頭痛を扱ううえで、いちばん先に確かめなければならないところを、すでに通過されたということですから。
では、なぜ痛むのでしょうか?

画像に写るのは、かたちだからです。
家にたとえてみます。図面を見れば、柱の位置や壁の厚みは分かります。でも、その家が寒いかどうかは、図面には写りません。エアコンの効きが悪いことも、すきま風が入ることも、図面では分かりません。
体も同じです。
レントゲンやMRIは、かたちを写します。骨のならび、血管のかたち、脳のかたち。ここに異常がなければ「異常なし」です。
けれど、頭痛の多くははたらきの問題です。
- 首や肩の筋肉が、ゆるまなくなっている
- 首から届いた信号が、頭の痛みとして受け取られている
- 脳が疲れて、痛みを抑える働きが落ちている
- 呼吸が浅く、酸素が足りていない
どれも、写真には写りません。写らないから、ないわけではありません。「肩がこると、なぜ頭まで痛くなるのでしょうか?」で詳しくお話ししています。
検査を受けた方は、少数派だとご存じですか?
実は、かなりの少数派です。
『頭痛の診療ガイドライン2021』には、片頭痛や緊張型頭痛でお悩みの方の7割以上が、頭痛で医療機関を受診したことがないと記されています。半数以上の方は、受診の経験もなく、市販薬だけで対処しているとも書かれています。
受診率でみると、片頭痛で30%、慢性緊張型頭痛で73%です。
つまり、多くの方が「こんなことで病院に行っていいのだろうか」と思いながら、何年も我慢しておられます。
その中で検査まで受けられたのですから、ご自分の体に、きちんと向き合われたということです。
「異常なし」のあと、当院では何を診るのでしょうか?
はたらきのほうを診ます。
具体的には、こうしたことを確かめます。
- 首や背中の関節が、どこで動きを失っているか(動かしながら一つずつ確かめます)
- 呼吸で胸や背中がふくらむか
- 目がなめらかに動くか
- 触れたところが分かるか、腕をどの高さで止めたか(左右差をみます)
最後のものは、少し変わった検査だと言われます。これは、脳にきちんと情報が届いているかを確かめているからです。左右で差が出たところが、体からの手がかりになります。
かたちの検査で異常がなかったのなら、次ははたらきを診る。そういう順番だと考えています。
こんなときは、もう一度医療機関へ
一度「異常なし」と言われていても、次のような変化があれば、あらためて受診してください。
- 突然、経験したことのない激しい頭痛が起きた
- いつもの頭痛と、痛み方や場所が明らかに変わった
- だんだん強くなる、頻度が増えている
- 発熱があり、首の後ろが固まって前に曲げられない
- ろれつが回らない、片側の手足がしびれる、物が二重に見える
- 頭をぶつけた後から頭痛が始まった
「前に検査したから大丈夫」とは限りません。パターンが変わったときは、もう一度。これは覚えておいてください。
今日からできることはありますか?

記録をつけてみてください。
手帳でもスマホのメモでも構いません。書くのは3つだけです。
- 痛かった日に、印をつける
- どんなときに痛くなったか(天気、生理の前後、忙しかった日、寝不足の日など)
- 薬を飲んだかどうか
これは頭痛ダイアリーと呼ばれるもので、『頭痛の診療ガイドライン2021』にも項目があります。
2週間つけるだけで、ご自分でも気づくことがあります。「雨の前の日が多い」「金曜日に集中している」「薬を飲む日が月に10日を超えている」。こうしたことは、思い出そうとしても出てきませんが、記録には残ります。
次に医療機関へ行かれるときも、当院にお越しになるときも、この記録があると話が早くなります。
まとめ
- 「異常なし」は「原因がない」ではなく、「危険な病気は見つからなかった」という意味です
- 画像に写るのは、かたちです。頭痛の多くは、はたらきの問題です
- 検査を受けた方は少数派です。7割以上の方は受診されていません
- パターンが変わったときは、もう一度医療機関へ
- 記録をつけると、ご自分でも気づくことがあります
「異常がないのに痛い」というのは、宙ぶらりんでつらい状態だと思います。けれど、行き止まりではありません。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人

作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
参考文献・引用元
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修、「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会 編集『頭痛の診療ガイドライン2021』医学書院、2021年(受診率・受診歴:第Ⅰ章 CQ I-11/頭痛ダイアリー:第Ⅰ章 CQ I-10)






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