睡眠不足が肥満と脳に与える影響


 

「暑くて夜中に何度も目が覚めてしまい、朝起きても疲れが取れない」
「仕事のストレスで頭が冴えてしまい、なかなか寝付けない」
「睡眠不足が続いて、最近体重が増えてきた気がする」

 

そんなお悩みがある時には、このブログがお役に立てると考えています。

睡眠不足が肥満と脳に与える影響|自律神経を整える3つの解消法

こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。

 

暑い夏の夜に目が覚めてしまったり、仕事や家庭のストレスで十分な睡眠が取れない日々は、本当につらいですよね。
睡眠不足が続くと、体も心も疲れきってしまいます。

 

実は、睡眠不足は単に疲れが取れないだけでなく、肥満や脳の機能低下にも大きな影響を与えているのです。

 

現代社会では、パソコン作業、部下のマネジメント、上司との関係づくり、家族との調和など、体を使うよりも頭を使うことの方が圧倒的に多くなっています。
私たちがストレスを受けると、脳の扁桃体(へんとうたい)という感情を司る部分が活発になります。
扁桃体は、まるで家の「感情の警報装置」のようなもので、怖いことやストレスを感じると、「危険ですよ!」と体に信号を送る役割をしています。

 

本当はイライラしたり、悲しくなったりした感情をそのまま出せたら楽なのですが、職場や家庭ではなかなかそうもいきませんよね。
その「感情をグッと抑える」お仕事をしてくれているのも、実は脳なんです。
だから、脳は二重に疲れてしまうのです。
このブログでは、日々のストレスによって疲れた心身を、睡眠の質を高めることによって癒す方法についてまとめています。
質の高い睡眠は、心身の疲れを和らげるだけでなく、認知症の予防や、体重も落とすことが可能となります。
興味のある方はぜひ最後までブログをお読みください。

 

睡眠不足が脳の疲労回復を妨げる理由|グリンパティック系の働きと影響

脳の疲労は、睡眠によって回復させることができます。
これには「グリンパティック系」という脳内の老廃物除去システムが関わっています。

 

グリンパティック系とは、「脳のお掃除システム」のことで、比較的最近(2012年)に発見された脳の大切な働きです。

 

眠っている間、特にぐっすり眠っている時に、脳の中では「脳脊髄液(のうせきずいえき)」という透明な液体が活発に動き出します。
この液体は、まるで「脳内の水洗い」のように、日中にたまった疲れの物質や、「アミロイドβ(ベータ)」という認知症の原因になるかもしれないゴミを、きれいに洗い流してくれるんです。

 

まるで、夜間に街の清掃車が道路をきれいにしてくれるように、私たちが眠っている間に脳内の「お掃除」が行われているのです。

 

ワシントン大学医学部の研究(2018年、PNAS誌 [https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1721694115])によると、一晩の睡眠不足でも脳内のアミロイドβが5%増加することが報告されています。
このような老廃物の蓄積は、認知機能の低下や将来的な認知症リスクにもつながる可能性があります。
つまり、睡眠はとても大切な役割をしています。

 

 なぜ睡眠不足が肥満につながるのか|メラトニンと自律神経の関係

 

「睡眠不足と肥満?何の関係があるの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実は、ここにダイエットや体重管理の大きなヒントが隠されているのです。

 

睡眠中には「メラトニン」というホルモンが分泌されます。
メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、私たちの体内時計を調整し、質の良い睡眠をもたらしてくれます。
さらに重要なのは、メラトニンには糖質を燃やしてくれる働きがあるということです。
つまり、十分な睡眠を取ることで、寝ている間に体重のコントロールが可能となるのです。
シカゴ大学の研究(2004年、Annals of Internal Medicine誌 [https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/0003-4819-141-11-200412070-00008])では、睡眠時間が4時間以下の人は、7〜9時間睡眠の人と比べて肥満リスクが73%高いことが報告されています。
これは、睡眠不足により食欲を抑制するホルモンが減少し、食欲を増進するホルモンが増加するためです。

 

また、睡眠不足は自律神経(じりつしんけい)のバランスを崩します。
自律神経とは、心臓の動きや呼吸、消化など、私たちが意識しなくても自動的に働いてくれる神経のことです。
交感神経(こうかんしんけい)という「活動モード」の神経がずっと「オン」の状態になっていると、コルチゾールというストレスホルモンがたくさん分泌されます。
これはまるで、「太りやすいスイッチ」が入ってしまうようなもので、食べたものが脂肪として蓄えられやすくなってしまうんです。

 

睡眠不足を解消する3つの方法|脳疲労の回復と自律神経を整える実践法

 

いくらストレスが溜まっていても、フルマラソンを走った日や、普段しないような肉体労働をした日は、ぐっすりと眠れますよね。
でも、脳が疲れてしまうと、やる気や意欲が起こらなくなり、体を動かすこともできなくなってしまいます。

 

そこで、脳の疲労を解消し、良質な睡眠を取るための3つの方法をご紹介します。

 

 1. 日中の日光浴と深呼吸|セロトニン分泌で自律神経を整える

1つ目は、日中、日が当たっている時に外に出て、伸びをして深呼吸を5回ほど行うことをお勧めします。
これを1時間に1回、難しければ昼休みだけでも実践してみてください。

 

なぜこれが効果的なのでしょうか?
日光を浴びることで、脳内で「セロトニン」という神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ)が分泌されます。

 

神経伝達物質とは、脳内で「メールを届ける配達員」のような役割をしている物質です。
脳の中の神経細胞は、直接つながっていないので、この「配達員」が情報を受け渡してくれるんです。

 

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分を安定させる働きがあります。
そしてさらに素晴らしいのは、日中に作られたセロトニンが、夜になると「眠りのホルモン」であるメラトニンに「変身」してくれるということです。
まるで、昼間に集めた「幸せの種」が、夜になると「安眠の花」を咲かせるようなものですね。

 

加えて、深呼吸によって副交感神経(ふくこうかんしんけい)という「リラックスモード」の神経が優位になり、自律神経が正常に働く環境ができます。

 

2. ウォーキングで脳疲労を解消|睡眠の質を高める運動法

2つ目は、日中のウォーキングです。
初めは5分から10分でも構いません。
できれば日が昇っている時間帯に行うのが理想的ですが、夏の暑い時期は朝の早い時間に行うことをお勧めします。

 

歩く際のポイントは、近くのものと遠くのものを交互に見ることです。
具体的には、30秒〜1分ごとに視線を切り替えるとよいでしょう。
例えば、足元の道を見たら、次は遠くの景色や建物、そしてまた近くの花や看板、というように視線を移してみてください。
この動きを繰り返すことで、瞳孔(どうこう)という目の黒い部分が、遠くを見る時に小さくなり、近くを見る時に大きくなります。
そうすることで、自律神経が正常に機能するように整えることができます。

 3. スキンシップでオキシトシン分泌|脳をリラックスさせる方法

3つ目は、ご家族や親しい方とのスキンシップです。

 

親しい人と会話をしたり、軽くハイタッチをしたり、握手をしたりすることで、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。
オキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、ストレスを軽減し、リラックス効果をもたらします。

 

もし、スキンシップが取れない時には自分で自分の体を優しくさすることでも、同様の効果が期待できます。
お風呂上がりに、腕や脚を優しくマッサージしてみてください。
まるで大切な人を労わるように、自分の体にも優しく触れることで、脳はリラックスモードに切り替わります。

 

当院での睡眠改善サポート

 

当院に通われている50代の女性患者さんは、仕事のストレスで慢性的な睡眠不足に悩まれていました。

 

「夜中に2〜3回は目が覚めて、朝起きても疲れが全然取れないんです。最近、体重も5キロ増えてしまって…」とお悩みでした。

 

施術と合わせて、今回ご紹介した3つの方法を1ヶ月実践していただいたところ、「夜中に起きることがなくなって、朝までぐっすり眠れるようになりました!体重も2キロ減って、体が軽くなった感じがします」と喜んでいただけました。

 

睡眠不足解消法まとめ|1ヶ月の実践で脳と体の健康を取り戻す

 

今回ご紹介した3つの方法をまとめます:

 

1. 日中の日光浴と深呼吸(1時間に1回、または昼休みに5回)
2. ウォーキング(1日5〜10分から始める)
3. スキンシップ(家族との会話やハグ、セルフマッサージ)

 

これらの方法を1ヶ月ほど継続していただければ、夜の睡眠の質が高まり、脳の疲労を取り除き、自律神経のバランスも整えることができます。

 

睡眠不足による肥満や脳の疲労は、決して仕方のないことではありません。
日常生活の中でできる小さな工夫で、大きな改善が期待できるのです。

 

もし1ヶ月実践しても改善が見られない場合は、他の要因が関係している可能性があります。
お気軽に当院にご相談ください。
睡眠の質を改善し、健康的な毎日を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

 

最後までブログをお読みいただきありがとうございました。
皆様が質の良い睡眠で、健康で充実した毎日を過ごせますよう、心よりお祈りしております。

 

(監修:柔道整復師・鍼灸師 作尾大介)

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