こころ鍼灸整骨院ではおもに「モーションパルペーション」という方法を利用した治療をおこないます。
柔らかすぎると悪くなる?
人の体を構成する筋肉や靭帯、関節は、これらの組織を包む「膜」で覆われています。
そして、この膜が硬くなると弾力性を失い、
- 動かしたときに引っかかる
- 腕や足を延ばしたときに痛くなる
というような症状が現れます。
そのため、筋肉、靱帯、関節が硬くなった場合には、当然スムーズに動くようにする必要があります。
このように「硬くなると悪くなる」のは、みなさん想像されやすいかと思いますが、実は、反対に「柔らかすぎても悪くなる」ことがあるのです。
ではなぜ、柔らかすぎると悪くなるのでしょうか?
「柔らかすぎる=ゆるむ」によって起こること
靭帯や筋肉、関節やそれを包む膜がやわらかすぎると、体を支えることができなくなり、その姿勢を保持する機能を失います。わかりやすく言えば、関節や靱帯が「ゆるんだ」状態です。
そうなると、そこを必死に守ろうと周辺の筋肉が過剰に緊張して硬くなり、じっと座っていると痛くなる、立ちっぱなしになると痛くなる、ということが起こります。
その硬くなった筋肉に対してマッサージやストレッチをすると、たとえその時は少し楽になっても筋肉が硬くなる原因がとれていないため、さらに悪くなってしまうのです。
「重だるさ」や「コリ」が慢性化する理由
ケガや事故
関節や靭帯が柔らかくなりすぎる=「ゆるむ」原因の一つとして、ケガや事故などがあります。
この場合、外から急激な力が加わることによって関節や靱帯を損傷するため、炎症が起こって痛みや熱感を伴います。
姿勢、動作
もう一つの原因として、「長時間悪い姿勢でいる」「何度も同じ動作を繰り返す」といったものがあります。日常生活のクセによって負担がかかると、気づかないうちに関節や靱帯、そのまわりの膜を痛めてしまうのです。
慢性的な症状になってしまうのは…
ケガをして腫れや熱感がある場合は、不安定感と何より強い痛みがありますから、できるだけ早く固定をする、痛みに対する処置をするなどの治療をおこなうため、早い完治が見込めます。
しかし、繰り返し動作によって負担がかかる場合、急激な力によって炎症が起こる場合とは違い、気づかないうちに関節や靱帯、そのまわりの膜を痛めているので、その部分が正しく機能しないまま日常生活を送ることになります。
関節や靱帯が正しく機能しなくなると、その部分を安定させるために周りを守っている筋肉にムリがかかって、筋肉を硬くすることになります。
これがいわゆる「重だるい」とか「コリ」といった、慢性的な症状になるのです。
この場合、少しずつ少しずつ症状がきつくなり、やがて我慢できないほどのつらい症状が出るため、重だるさやコリなどの症状が起き始める初期の段階での治療は難しいものです。
手による精密な検査
モーションパルペーションでは、まずは関節や靱帯を包む膜や皮膚の硬さを取り除くことによって身体のバランスを整え、関節や靱帯がゆるむ原因を取り除きます。
そのために、手による精密な検査によって「硬くなった部分」と「ゆるんだ部分」を正確に見つけ出し、治療を進めていきます。
モーションパルペーションの治療法
モーションパルペーションという言葉には「動きの触診」という意味があります。
従来の触診では、静止した状態で触って検査することが主流でした。
しかし、痛みや動きの制限は体を動かしたときに起こるものです。
そのためモーションパルペーションでは、検査から治療までを一貫しておこない、異常に硬くなった筋肉を正常な柔らかさにした後、ゆるんだ関節や靱帯などに再び負担をかけないようにするため、バランスを整える治療をおこないます。
マイクロけん引法
従来の整骨院や整形外科で使われているけん引は、腰であれば体重の3分の1、首であれば体重の10分の1を目安に引っぱる力を加えていますが、実は、最近の研究では「このようなけん引は体を悪くする」という論文も出ています。
特に神経は、「圧迫されるよりも、引き伸ばされる方が痛みやしびれが出やすくなる」という研究もあります。
ですので、当院では患者さんが「すごく引っ張られている」と感じてしまう力でけん引をすることは一切ありません。
マイクロけん引法は、体のあらゆる関節(肩や膝、股関節等)に使用でき、さらに関節だけでなく筋肉や靭帯の硬さも取り除くことができる画期的な方法です。
また、この治療法は体に一切負担がかかりませんので、0歳児からお年寄り、強い刺激が苦手な方や虚弱体質の方、人工関節の手術をされた方など、あらゆる方に施すことができる効果の高い治療法です。
モビリゼーション
検査によって見つけ出した硬い組織に対して、一番ゆるみやすい方向に力を調整しますので、可動域の回復と筋肉や関節、靱帯の柔軟性を取り戻し、痛みを取り除くことができる非常に効果の高い治療法です。
関節に対してはもちろんのこと、関節の中にある靭帯や関節を包む袋にもアプローチすることができますので、微細な繊維を緩めるときにモビリゼーションを用いて治療していきます。
モビリゼーションによって与えられる振動は、脳にも作用して身体全体をリラックスさせることができます。
カウンターストレイン
関節が動きにくい場合、関節だけが悪いわけではなく、その関節を動かす筋肉の過剰な緊張が原因になっていることがあります。
悪くなって長い間緊張状態にあった筋肉は、脳がその状態を記憶してしまうため、筋肉をほぐそうとしても一向に緊張が解けずに、自然治癒力をさまたげてしまいます。
一般的に、「硬くなった筋肉にはストレッチで改善できる」という考え方がありますが、長い間緊張状態にある筋肉に対してストレッチを加えると、脳が悪い状態に戻そうとしてより硬くなってしまうことがあるのです。
では、どのような方法で改善するのでしょうか?
相反抑制(そうはんよくせい)を利用する
人の体には相反抑制(そうはんよくせい)という機能があります。
力こぶを作る動作を例にとってみましょう。
力こぶを作る側の筋肉を上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)といい、二の腕側の筋肉を上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)といいます。
一度、力こぶを作ってみてください。
このとき、力こぶを作るために上腕三頭筋(二の腕側)は柔らかい状態になります。これは、力こぶを作る動きを妨げないようにしているのです。
反対に、二の腕側に力を入れてみてください。
そうすると、力こぶを作る側(上腕二頭筋)は柔らかくなり、二の腕に力を入れる動きを妨げないようになります。
- 上腕二頭筋(力こぶ)が収縮すれば、上腕三頭筋(二の腕)は緩む
- 上腕三頭筋(二の腕)が収縮すれば、上腕二頭筋(力こぶ)は緩む
このように、お互いに拮抗した働きをする筋肉のことを「拮抗筋(きっこうきん)」といい、この働きを使って関節の動きをスムーズにしています。
これを「相反抑制」と呼び、この働きを利用して筋肉をストレッチすることで緊張を緩める治療法を、「カウンターストレイン」といいます。
一般的なストレッチの場合、筋肉を伸ばす方向に関節を操作しますが、カウンターストレインでは、筋肉がたるむ方向に関節を操作することで拮抗筋に刺激を加えて筋肉をストレッチしていきます。
体が楽になる方向に誘導して緊張を緩めるため、全く痛みを伴わない治療法です。
モーションパルペーションの特長
身体に負担のない治療です
このようにモーションパルペーションでは、症状の原因を明確にし、治療を加える方向や力加減を調節し、ほんのわずかな力で悪くなった組織にのみアプローチしますので、患者さんに過剰な負荷をかけることなく痛みのない治療が可能となります。
良くなったことが実感できる
また、治療後にその場でもう一度患部にモーションパルペーションを行い、
- ひっかかっていた腕が上がるようになった
- 硬かった筋肉が柔らかくなった
- 触ると痛かった場所が痛くなくなった
- 力が入りにくかった筋肉に力が入るようになった
といった評価基準をもとに、私と患者さんがお互いにどこまで良くなったかを共有することができますので、患者さん自身に良くなったことを実感していただけます。
検査と治療が一体化した治療法
モーションパルペーションは検査と治療を同時におこなうことができます。
どういうことかと言いますと、より正確に明確に悪い部分を検査し、そのままその部分に対して軽い振動やわずかなけん引を加えれば治療となるのです。
つまり、モーションパルペーションは検査と治療をほぼ同時にでき、その後すぐに治療の効果をお互いに共有できる、画期的な治療法です。
生涯を通じて磨き続けていきたい治療法
こころ鍼灸整骨院がある小野市は、金物が名産です。
金物というのは鍛冶屋さんで作られるのですが、どうやって作るかというと、何度も何度も鉄に熱を加え、そしてたたくという作業を繰り返すのです。
そうすることで、強く、かつ、良い道具ができあがるのです。
私は、技術もそれと同じだと考えております。
妥協することなく基本の技術を磨きつつ、ご縁のあった患者さんの症状によって工夫を加える。
そしてまた基本の技術を磨く。その繰り返しをもう10年以上もやってきましたし、これからもやっていくつもりです。
そうすることで、今よりも治療技術の精度と効果も向上していくと信じております。
こころ鍼灸整骨院では、生涯を通じてこのモーションパルペーションという技術を磨き続け、日々進化させていきたいと考えております。
身体に不安と悩みを抱えている方の症状を根本から改善し、人生を大いに楽しんで頂くことが私の喜びであり、使命だと考えています。
お身体の症状でお困りであれば、いつでもお気軽にご相談ください。