当院では、リンパドレナージュに整体治療と鍼灸治療を組み合わせた、独自の治療法を行います。
では、リンパドレナージュとはどのようなものか?わかりやすく説明していきたいと思います。
リンパとは
- 全身に張り巡らされている「リンパ管」
- リンパ管の中を流れている、血液中の血漿(けっしょう)の一部でリンパ管に吸収されたものが「リンパ液」
- 肘の裏、膝の裏、鼠径部、鎖骨の上、わきの下にある、リンパ管が集合している部分が「リンパ節」
これら3つを総称して【リンパ】と呼ぶことが一般的です。
ここではこの3つを細かく分類し、治療とのつながりを説明していきます。
体の免疫と循環に大きな役割を果たすリンパ
人間は体重の60%は水分で構成されています。
この水分は細胞内に40%、細胞外に20%という割合で構成されています。
細胞外の体液を更に細かくわけていくと、15%が間質液とリンパ、残りの5%が血漿(けっしょう)成分となっています。
リンパは体内にウイルスや細菌が侵入したとき体を守ろうとする働きがあります。
病原菌やウイルスに対し必要に応じて、細胞の外から液体を生み出します。この生み出された液体をリンパ液と呼びます。
細胞の外にあるリンパ液が、体に入ってきた細菌やウイルスを排除して、更に血液では心臓に戻せない体液を、リンパ固有の循環方法(=リンパ循環)で心臓に運ぶ役割をしています。
リンパは重要な循環システム
先述のとおり、リンパ管は体中に張り巡らされており、リンパ管の中を流れるリンパ液には、細菌やウイルスから体を守る働きと、必要な体液を動脈と合流して心臓に戻し、細菌やウイルスが含まれるリンパ液をリンパ節で浄化する排せつ機能を備えています。
通常、一度の血液循環で、毛細血管から細胞と細胞のすきまへと約30リットルもの体液がしみ出ていて、そのうち約27リットルは静脈に吸収され、残りの約3リットルはリンパを介して心臓に運ばれています。(図1)
もし、リンパ系のシステムが機能しなくなると、人は48時間以内に死んでしまうと言われています。
リンパの機能は人間が生きていくうえで、免疫と循環機能を兼ね備えた重要なシステムとなっているのです。
リンパ循環のスタート地点は「アンカリングフィラメント」
リンパ管は、リンパ系の中でもっとも小さい「毛細リンパ」から始まります。
この毛細リンパを皮膚に連結、固定している部位を「アンカリングフィラメント」といいます。
リンパ管は皮膚と皮下組織の間にあり、皮膚にはリンパ管の入口となる「アンカリングフィラメント」が付着しています。
リンパ液が身体を循環するしくみ
「アンカリングフィラメント」は、外から圧迫刺激されることで入口が開き、そこに老廃物を含んだ組織液が流れ込み、満タンになると自然と入り口を閉じる、という機能があります。
毛細リンパを皮膚に連結、固定しているのが「アンカリングフィラメント」ですので、上記の機能によって毛細リンパから吸収された老廃物は、「集合リンパ管(毛細リンパが束になったもの)」に運ばれていきます。
集合リンパ管には、リンパ液が一方向に流れるように逆流防止の弁がついていて、老廃物とともに回収したウイルスや病原菌の逆流を防ぐ役割を果たしています。
体内に張り巡らされた「リンパ管」の中を流れるリンパ液は、集合リンパ管に運ばれたのち、最終的に肘の裏、膝の裏、鼠径部、鎖骨の上、わきの下にある「リンパ節」へと運ばれていきます。
そして、リンパ節で老廃物やウイルス、病原菌などを洗浄して、体の深部へとリンパ液が吸収されていきます。つまり、リンパ節は老廃物やウイルス、病原菌などを含んだリンパ液の浄化装置の役割を果たしているのです。
リンパ液はリンパ管の末端から中心へ向かって流れており、現在地から一番近くのリンパ節へと流れ込んでいきます。途中にある数カ所のリンパ節で浄化されながら、最終的には心臓にキレイなリンパ液のみを戻しているのです。
「アンカリングフィラメント」は、外部から圧迫刺激を加えることによって動くようにできているので、「アンカリングフィラメント」を優しくストレッチし圧迫を繰り返すことで、リンパ液の流れを活性化できます。
むくみが起こる原因
1.呼吸を調整する、横隔膜が硬いせい
リンパ液は身体の末端から体の中心に向かう圧力によって、自動的に吸収されていきますが、体の胸郭や腹腔内圧が高いとこの働きを阻害され、手足のむくみが起こります。
呼吸のたびに胸郭と腹腔を動かす、横隔膜が柔軟に動いている必要があります。
2.硬くなった筋肉と関節のせい
筋肉を包む膜は、神経、動脈、静脈、リンパ管の通路を形成しています。筋肉が硬くなるとこの通路を阻害してむくみを起こしてしまうのです。もちろん関節の硬くなると筋肉が伸び縮みできないのでむくみを起こます。
3.運動不足
運動によって、リンパ液の流れは数十倍にも増えます。ですが運動不足になると筋肉や関節が硬くなり、むくみを助長させてしまうのです。
4.その他
感染症、外傷後の腫れ、静脈瘤、腎臓病、心臓病、肝臓疾患、妊娠においてもむくみがおきます
※重度の場合には病院で検査を受けて頂く場合もございます、ご了承ください。
画期的治療法“リンパドレナージュ”とは
「ドレナージュ」とは、体内の余分な水分や血液を抜き取る排液機能、排泄機能のことを言います。
リンパドレナージュの特徴は、体の持つリンパの循環機能を用いて、むくみや冷えのもとになる滞った体液を押し流し、循環を促進させて新陳代謝を促し、老化を防止する、免疫機能高めるといったことができる、画期的な治療法です。
リンパドレナージュの効果
むくみと冷えの改善
通常、リンパ液は1日に1.5~4リットルの循環が行われていますが、特殊な刺激を加えることによって、その働きを数倍に高めることができ、1日に10~30リットル以上もの循環が可能になります。そして、リンパの働きを活性化することで、肩や腰、背中の重だるさ、手足のむくみと冷えなどがなくなり、免疫機能も高くなるため、病気になりにくい体をつくることができます。
むくみの原因は、リンパの循環機能が低下することによって老廃物が排出できなくなり、リンパ液の流れが悪くなることなどが挙げられます。
夕方になると、足がパンパンにむくんでいることってありますよね?
そういった場合、リンパドレナージュを施すことによってむくみや重だるさを取り除き、体の冷えを改善することができます。
便秘の改善
腸の働きが悪くなると、大腸にたまった便を押しだす力が弱まり、腸の中に便がたまり続けて便秘になってしまいます。
大腸の内側には血管と共に並走するリンパ管があり、その中をリンパ液が流れています。
そのため、下腹部にリンパドレナージュをすることによって、腸の動きを活発にし、便秘を改善することができます。
また腸の働きが活発になると、小腸で吸収された栄養素を血液に運ぶ働きが促進されて、元気な身体をつくることができます。
交感神経と副交感神経
私たちが日中活動しているときには交感神経が優位となり、ある種の興奮状態、戦闘状態をつくり出しています。そして一日の活動を終え、身体を休めて睡眠を取る時には副交感神経が優位となり、心身ともにリラックスした状態になります。
交感神経と副交感神経はシーソーのようなバランスでスイッチが入れ替わり、「戦闘モード」と「リラックスモード」をいったりきたりしているのです。
しかし、毎日忙しく心の休まらない状態では、交感神経と副交感神経のスイッチがうまく切り替わらなくなり、交感神経が優位に働き続けてしまい、内臓の働きを悪くします。
このような場合も、リンパ節を刺激するテクニックと腹部のリンパドレナージュによって交感神経の活動を抑え、体をリラックスさせることができます。
体がリラックスし、体全体の循環もよくなることで体の排泄機能が促され、便秘も改善できるのです。
体と心が安らぐ、本当のリラクゼーション
私はこのテクニックを習い始めた当初、自分の妻をモデルに何度も練習しました。
妻は美容師で常に立ちっぱなし、特に夏場は冷房が効いた職場で長時間立ち仕事をすることになり、片頭痛と肩こり、体の冷えを毎日訴えていました。
妻がそんな状態ということもあり、毎日リンパドレナージュを施していくうちに手足のむくみがなくなり、特に足は一目見てわかるくらい細くなりました。
リンパドレナージュの治療は、ゆっくりとしたリズムで心地よい圧迫とストレッチを繰り返しリンパ液の吸収を促します。あまりの心地よさのため、治療が始まってすぐにリラックスして眠ってしまうほどソフトな施術です。
リンパドレナージュを行うと、体が暖かくなり、余分なむくみもリンパ節に吸収され、関節や筋肉は柔らかくなります。
回を重ねて治療するにつれ、妻の肩こりと頭痛も消失し、冷えも改善しました。
リンパ管は皮膚や筋膜にくっついているので、リンパドレナージュを行う前に関節や筋肉の治療しておくと、よりリンパケアの効果を実感して頂けます。
そのため、当院ではモーションパルペーションや整体治療、鍼灸治療を行った後にリンパドレナージュをおこない、より効果の高い治療を提供いたします。
冷えやむくみ、便秘などの症状でお悩みであれば、リンパドレナージュを受けることをおすすめします。免疫を高め、病気を予防するために月に1度のメンテナンスとして取り入れることも可能です。
リンパドレナージュで改善が期待される症状
このような症状でお困りの方はご相談下さい
- 冷え性
- 手足のむくみ
- 代謝の改善
- 便秘
- 食欲不振
- 循環不全による頭痛や肩こり
- 中々ひかない腫れ
- 病気の予防
- 風邪や気管支炎の治りが悪い時
- アンチエイジング・美容
リンパドレナージュの禁忌
- 急性感染症
- 炎症性疾患
- 血栓症
- 静脈炎
- 心疾患(急性狭心症や冠状動脈血栓)
- 重度の高血圧
- 血種(出血)
- 悪性腫瘍