

坐骨神経痛で歩くと骨盤が傾くのは、お尻の横の筋肉がうまく働いていないサインのことがあります。中殿筋(ちゅうでんきん)という筋肉です。中殿筋は、片脚で立つときに骨盤を水平に保つ筋肉です。この筋肉を動かす神経が傷むと、歩くたびに骨盤が傾く歩き方になるとされています。腰の神経が原因の坐骨神経痛では、股関節を外へ開く力が落ちていることが多いという報告もあります。
「歩いていると、体が左右に揺れていると言われた」
「片脚で立つと、ふらついてしまう」
「坐骨神経痛と言われてから、お尻の横が疲れやすい」
このようなお悩みをお持ちの方に、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
結論からお伝えします。歩くと骨盤が傾くのは、お尻の横の中殿筋がうまく働いていないサインのことがあります。腰の神経が関わる坐骨神経痛では、この筋肉の力が落ちていることがよくあります。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
坐骨神経痛のご相談の中には、「家族から歩き方が変わったと言われた」という方もいらっしゃいます。自分では気づきにくい変化を人から指摘されると、不安になるのは無理もないことです。
このブログでは、坐骨神経痛で歩くと骨盤が傾く理由をお話しします。
なぜ坐骨神経痛で、歩くと骨盤が傾くことがあるのでしょうか?
お尻の横には、中殿筋という筋肉があります。骨盤の横から、太ももの骨の付け根につながっている筋肉です。
歩くときは、一瞬ずつ片脚で体を支えています。そのとき、支えている側の中殿筋が働いて、骨盤が反対側に傾かないように保っています。
ここで、物干し竿を思い出してみてください。洗濯物を片側だけに干すと、竿はその側に傾きます。両側で同じように支えていれば、竿は水平に保たれます。
骨盤も、これと似ています。中殿筋がしっかり働いていれば、片脚で立っても骨盤は水平に保たれます。けれど、中殿筋の力が落ちると、支えきれずに、浮かせた脚の側の骨盤が下がってしまいます。
アメリカの医学情報データベース(StatPearls)に、この筋肉を動かす神経の解説があります。中殿筋を動かしているのは、上殿神経(じょうでんしんけい)という神経です。この神経が傷むと中殿筋の働きが落ち、トレンデレンブルグ歩行と呼ばれる、骨盤が傾く歩き方になるとされています。
坐骨神経痛と、お尻の横の筋肉はどう関わっているのでしょうか?
腰の神経の根元が押さえられると、脚のしびれだけでなく、お尻の横の筋肉にも影響が出ることがあると考えられています。それを示す研究があります。
足首が上がりにくくなった方を調べた研究があります(Jeonら、2013年)。腰の神経の根元が原因だった方では、多くの方に、股関節を外へ開く力の低下も見られました。一方、膝の外側の神経が原因だった方では、この力の低下はほとんど見られませんでした。
腰の神経の圧迫をとる手術の前後で、股関節を外へ開く力を調べた報告もあります(Sasajiら、2012年)。手術のあと、26例のうち23例で力が戻ったとされています。お尻の横の筋力の低下が、腰の神経と関わっていることを示す結果です。
当院では、どのように確かめているのでしょうか?
当院では、坐骨神経痛の方の歩き方や、片脚で立ったときの骨盤の傾きを見ています。横向きに寝ていただいて、脚を外へ開く力に左右で差がないかも確かめます。しびれの範囲や触れた感覚と合わせて、どこが関わっているのかを探していきます。
坐骨神経痛で、こんなときは医療機関を受診してください
次のような場合は、整骨院より先に、整形外科などの医療機関を受診してください。
- 歩き方の変化や、脚の力の入りにくさが、日ごとに強くなっている
- つま先が上がらず、平らな所でつまずく
- おしっこや便が出にくい、または漏れてしまう
- 熱がある、がんの治療を受けたことがある、転んだあとから痛む
日本整形外科学会の「腰椎椎間板ヘルニア」のパンフレットには、手術が行われる場合も書かれています。脚の脱力や、排尿・排便の障害が出てくる場合です。防衛医科大学校の千葉一裕教授の解説でも、坐骨神経痛はときに重い病気から起こることがあるとされています。急いで医師の診察が必要な場合があります。
当院でも、初回の問診と検査で、こうしたサインがないかを確認しています。気になるサインが見つかったときは、医療機関への受診をお勧めしています。
坐骨神経痛のために、今日からできることはありますか?
お尻の横の筋肉を、どのように動かせばよいのでしょうか?


床やベッドに横向きに寝て、下の脚の膝を軽く曲げます。上の脚はまっすぐ伸ばし、つま先を正面に向けたまま、天井に向かってゆっくり持ち上げます。高さは、こぶし1つ分ほどで十分です。2秒かけて上げ、2秒かけて下ろします。
これを5回ほど行ったら、向きを変えて反対の脚も同じように行います。1日1回、寝る前などに行ってみてください。お尻や脚の痛み、しびれが強くなるときは、無理をせず中止してください。
骨盤の傾きは、どのように確かめればよいのでしょうか?
洗面所の鏡の前で、洗面台に手を添えて立ちます。片方の足を少し浮かせて、5秒ほど片脚で立ってみてください。浮かせた側の骨盤が下がっていないか、鏡で見て確かめます。左右で違いがあるときは、ご相談の際にお知らせください。
まとめ
- 歩くと骨盤が傾くのは、お尻の横の中殿筋がうまく働いていないサインのことがあります
- 中殿筋は、片脚で立つときに骨盤を水平に保つ筋肉です
- 中殿筋を動かす神経が傷むと、骨盤が傾く歩き方になるとされています
- 腰の神経が原因の坐骨神経痛では、股関節を外へ開く力が落ちていることが多いと報告されています
- 横向きで上の脚をゆっくり上げる動きを、1日1回、5回ほど行ってみてください
歩き方の変化は、自分では気づきにくいものです。ご家族から言われたことも、大切な手がかりになります。小野市周辺で坐骨神経痛にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
このブログが、坐骨神経痛でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人


作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
- 院のURL:https://kokoro-ono.com/
参考文献・引用元
- Lung K, Lui F. Anatomy, Abdomen and Pelvis: Superior Gluteal Nerve. In: StatPearls. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023.
- Jeon CH, Chung NS, Lee YS, Son KH, Kim JH. Assessment of hip abductor power in patients with foot drop: a simple and useful test to differentiate lumbar radiculopathy and peroneal neuropathy. Spine. 2013;38(3):257-263.
- Sasaji T, Horaguchi K, Yamada N, Iwai K. Improvement of hip abductor muscle weakness after lumbar decompressive surgery. Ups J Med Sci. 2012;117(4):426-429.
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」(2024年)https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0007DKA.pdf
- 千葉一裕「坐骨神経痛[私の治療]」Web医事新報(日本医事新報社、2021年。2026年更新)https://jmedj.co.jp/blogs/product/product_18104/



















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