

梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)とは、坐骨神経が押さえつけられて起こる状態です。場所は、お尻の奥にある梨状筋という筋肉のあたりです。坐骨神経痛の原因のひとつとして、日本整形外科学会のパンフレットにも挙げられています。55の研究をまとめた報告では、主な特徴は4つとされています。お尻の痛み、お尻の奥を押したときの痛み、座ると強くなる痛み、梨状筋を緊張させる動きでの痛みです。
「長く座っていると、お尻の奥がズーンと痛くなってくる」
「お尻の真ん中あたりを押すと、脚のほうまで響く」
「車の運転のあと、お尻から太ももの裏がしびれている」
このようなお悩みをお持ちの方に、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
結論からお伝えします。梨状筋症候群とは、お尻の奥の梨状筋のあたりで、坐骨神経が押さえつけられて起こる状態です。座ると強くなるお尻の痛みが、特徴のひとつです。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
坐骨神経痛のご相談の中には、「腰よりも、お尻の奥がつらい」という方がいらっしゃいます。座ることは、食事にも、仕事にも、車の運転にも欠かせません。座るたびにお尻の痛みが気になるのは、本当につらいことです。
このブログでは、坐骨神経痛の原因のひとつである梨状筋症候群について、どんな状態なのかをお話しします。
なぜ梨状筋のあたりで、坐骨神経痛が起こるのでしょうか?
梨状筋(りじょうきん)は、お尻の奥にある小さな筋肉です。骨盤の真ん中にある仙骨(せんこつ)から、太ももの骨の付け根につながっています。日本整形外科学会のパンフレットでは、股関節を外へ回す筋肉と説明されています。
坐骨神経は、骨盤の中から外へ出るときに、この梨状筋のすぐ近くを通ります。同じパンフレットには、坐骨神経の出口のところで、この筋肉が坐骨神経を圧迫して起こるのが梨状筋症候群だと書かれています。
ここで、混み合った駅の改札を思い出してみてください。改札の前に人が立ち止まっていると、そこを通り抜けるのに時間がかかります。改札そのものは狭くなくても、まわりが混み合うと通りにくくなるのです。
梨状筋のあたりも、これと似ています。坐骨神経にとって、骨盤から外へ出るところは、改札のような場所です。そのまわりの筋肉が硬くなったり、張りつめたりすると、神経が通りにくくなります。その結果、お尻の痛みや、脚へのしびれにつながることがあるのです。
梨状筋症候群では、どんな坐骨神経痛の症状が出やすいのでしょうか?
梨状筋症候群について、これまでに報告された55の研究をまとめた報告があります(Hopayianら、2010年)。そこでは、よく見られた特徴として、次の4つが挙げられています。
- お尻の痛み
- お尻の奥(骨盤の出口のあたり)を押したときの痛み
- 座ると強くなる痛み
- 梨状筋を緊張させる動きで強くなる痛み
2018年には、同じ研究者が新しい研究を加えて、まとめ直しています。その報告でも、梨状筋症候群はこの4つの症状と所見で定義できるとされています。
また、梨状筋症候群と診断された方の神経の症状を調べた報告もあります(服部ら、2012年)。そこでは、太ももの裏を受け持つ神経と、すねの外側を受け持つ神経の症状が多く見られたとされています。「坐骨神経痛のしびれ、太ももだけか膝から下までかで何がわかるのでしょうか?」で詳しくお話ししています。
腰が原因の坐骨神経痛とは、どう見分けるのでしょうか?
お尻から脚にかけての痛みやしびれは、腰の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症でも起こります。そのため、梨状筋症候群かどうかを考えるときは、まず医療機関で、腰の病気がないかを確かめてもらうことが大切です。2010年の報告でも、腰の病気がある方とない方で、これらの特徴の出方を比べることが今後の課題とされています。「坐骨神経痛は、座ると楽か立つと楽かで何がわかるのでしょうか?」で詳しくお話ししています。
当院では、医療機関での診断を大切にしたうえで、次のようなことを確かめていきます。
- お尻の奥を押したときに、痛みや脚への響きが出るか
- 股関節を動かしたときに、お尻の痛みが出るか
- 触れた感覚に、左右で差があるか
坐骨神経痛で、こんなときは医療機関を受診してください
日本整形外科学会のパンフレットには、坐骨神経痛の原因となる病気はたくさんあると書かれています。お尻の痛みだからと梨状筋症候群と決めつけず、次のような場合は、整骨院より先に医療機関を受診してください。
- 脚や足首に力が入らない、つまずきやすくなった
- しびれや力の入りにくさが、日ごとに強くなっている
- おしっこや便が出にくい、または漏れてしまう
- 熱がある、がんの治療を受けたことがある、転んだり尻もちをついたりしたあとから痛む
同じパンフレットには、こうも書かれています。診断がつかないまま長い期間、マッサージや注射だけで様子を見るのは勧められない、ということです。急いで医師の診察が必要な場合があります。
当院でも、初回の問診と検査で、こうしたサインがないかを確認しています。気になるサインが見つかったときは、医療機関への受診をお勧めしています。
坐骨神経痛のために、今日からできることはありますか?
座るときに、できる工夫はありますか?
座ると強くなる痛みは、梨状筋症候群の特徴のひとつです。硬い椅子に長く座るときは、座面にクッションやたたんだバスタオルを敷いてみてください。座るときは、左右のお尻に体重が同じようにかかるよう、深く腰かけるのがポイントです。
お尻のまわりをやさしく動かすには、どうすればよいのでしょうか?


壁や机に片手を添えて、まっすぐ立ちます。壁と反対側の脚を少し浮かせて、振り子のように前後にゆっくり揺らします。力を入れて大きく振るのではなく、脚の重さにまかせて小さく揺らすのがコツです。
10往復ほど揺らしたら、反対の脚も同じように行います。長く座ったあとや、家事の合間に行ってみてください。お尻や脚の痛み、しびれが強くなるときは、無理をせず中止してください。
まとめ
- 梨状筋症候群とは、お尻の奥の梨状筋のあたりで、坐骨神経が押さえつけられて起こる状態です
- 主な特徴は、お尻の痛み、お尻の奥を押したときの痛み、座ると強くなる痛み、梨状筋を緊張させる動きでの痛みとされています
- 太ももの裏や、すねの外側の症状が出ることも多いとされています
- 腰の病気でも似た症状が出るため、まず医療機関で確かめてもらうことが大切です
- 座面にクッションを敷く工夫と、脚の振り子運動10往復を取り入れてみてください
お尻の奥の痛みは、場所がはっきりしないぶん、「どこが悪いのだろう」と不安になりやすいものです。どんな状態なのかを知ることが、次の一歩につながります。小野市周辺で、お尻の奥の痛みや坐骨神経痛にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
このブログが、坐骨神経痛でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人


作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
- 院のURL:https://kokoro-ono.com/
参考文献・引用元
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ29 坐骨神経痛」(2025年)https://www.joa.or.jp/public/pdf/joa_029.pdf
- Hopayian K, Song F, Riera R, Sambandan S. The clinical features of the piriformis syndrome: a systematic review. Eur Spine J. 2010;19(12):2095-2109.
- Hopayian K, Danielyan A. Four symptoms define the piriformis syndrome: an updated systematic review of its clinical features. Eur J Orthop Surg Traumatol. 2018;28(2):155-164.
- 服部潤, 赤羽根良和, 永田敏貢, 齊藤正佳, 栗林純. 梨状筋症候群における神経症状の割合について. 東海北陸理学療法学術大会誌. 2012;28. https://doi.org/10.11529/thpt.28.0_130_2




















コメント
コメント一覧 (2件)
[…] たりしているうちに症状が出てくるのは、このタイプによく見られる特徴です。「坐骨神経痛の原因になる梨状筋症候群とは、どんな状態なのでしょうか?」で詳しくお話ししています。 […]
[…] 。そのため、太ももだけだから梨状筋の問題、と決めつけることはできません。「坐骨神経痛の原因になる梨状筋症候群とは、どんな状態なのでしょうか?」で詳しくお話ししています。 […]