迷いました、本当に迷いました。
正直この記事を書こうか迷いました…
なぜなら、このことを思い出すと泣きそうになるから。
本当のことを言うと、この記事は2年前から書きかけのまま放置していました。
しかし、意を決して書かせて頂きます。
こんにちは、兵庫県小野市こころ鍼灸整骨院院長の作尾です。
私の携帯にはずいぶん前から保存されている1通のメールがあります。
いつも何か大切な決断をするときに、私に力をくれるメール!
この度のお話はこころ鍼灸整骨院を開業する前にさかのぼります…
今から約9年前
当時の私は、病院に勤務をしながら仕事が休みの日や半休の日を使い、体の調子が悪い方の自宅に出向き、往診するという仕事をしていました。
開業する3年前から始めた取り組みで、今思えば当時に出会えた患者さんがいたからこそ、こころ鍼灸整骨院を開業できたと思っています。
当時は休みの日を個人で往診する仕事をしていたため、お盆や正月を含め年に2,3日しか休日がなかったです。
そんな中、私を頼ってくださった一人の患者さんがいらっしゃいました。
肝臓がんとの闘病
実は、こちらの患者さんは初診時に肝臓がんで病院では放射線治療を受けている状態でした。
しかもそのことを、家族とかかりつけのお医者さんにしか話しておらず、私の噂を友人から聞き治療を頼んでこられたのです。
治療をさせて頂いた後は、本当に重度の病気の方なのかと思うほど元気になります。
私はその当時にできる最大限のことをしようと、論文や医学書を読み漁り治療をさせて頂きました。
しかし、徐々にがんという病にむしばまれ弱っていきました。
突然のメール
ある日、その患者さんより一通のメールが送られてきて、内容を確認すると時間が止まったような感覚になり、その場から動けなくなったんです。
そのメールの内容を一部抜粋させていただくと
「『…先生からは治療域は終了して最終ステージ入ってるから、意識を切り替えて後は自分と向き合い、家族との楽しい思い出作りを…』
こういわれましたが、心のどこかでわかっていた事なので逆に気持ちが楽になりました。
12月にハワイに行きたい事を伝えたら、その夢を叶えるための協力はしますと言ってもらえました。
来週水曜日に入院を決めようかと。
来週火曜日の予約は空いていますか?」
と、メールを頂きました。
当時往診の予約枠は仕事を掛け持ちでやっていたので、予約を受け入れる枠は1週間で10名ほどだったため、すぐにいっぱいになっていました。
このメールをもらった時には1週間ほど先まで予約枠が埋まっている状態です。
ですが、自分の寝る時間や、ご飯を食べる時間を減らして対応しようと、何とか予約枠を確保できました。
心のどこかで、
「キャンセルがでれば、この方の苦しみを少しでも癒すことが出来るのでは…」
「調子がいい方がいらっしゃったら、お願いして日を変更して頂こうか」
と、いろんな代替案を考えましたが、それはこちらからはお願いできません。
しかし、その日の夜中にお知り合いの方を通じて、お亡くなりになったとの連絡を頂きました。
治療家として生きていくうえでの決意
お通夜には仕事が終わって夜中に駆けつけることが出来ました
ご家族からは
「母は先生の治療を受けるのを毎回楽しみにしていました。最後は病のせいで弱り、玄関の階段も昇れない状態でしたが、先生の治療を受けた日は元気に動けていたんです。」
「母をケアする際に、今まで話せなかった思いを沢山話が出来ました。ありがとうございます」
と、感謝の言葉を頂けました。
帰りの道中、涙で視界が見えなくなっていたので、一人車を停めて30分ほど泣きました。
その帰り道に
「命ある限り自分の治療技術や知識を磨き続ける」
と、改めて決意を固めた一日になりました。
「一期一会」患者さんとの出会いは本当に奇跡です。
ですので、私が今できる最高の治療を提供したいと思っています。
今でも時々思うこと
今でも思うことは、あの時に予約枠が空いていたら、本気で病に向き合っていた患者さんをもう一度治療できたのではないか…
時々そう考えてしまいます。
時には、治療を受けたくても受けれない方がいます。
キャンセルを待っている方がいらっしゃるのです。
だから私は、なんの連絡もない予約時間の遅刻や、ドタキャンに対してすごく腹が立ってしまうのです!
こころ鍼灸整骨院を開業して5年と半年、携帯のメールを確認してまた初心に戻れました!
もし、今ブログをご覧のあなたがお体に不調を感じるようでしたらお気軽にご連絡ください。
その時は私と治療に取り組んでみましょう。
体の不調をできるだけ早い段階で治し、毎日をイキイキと生活してほしい!
私は心からそう願っています。
監修 柔道整復師・鍼灸師 作尾大介
追伸
今はこちらの患者さんのお子様が当院にメンテナンスに通院してくれています。
このご縁に感謝します。