

画像でヘルニアが見つかっても、それがいまの坐骨神経痛の原因とは限りません。腰痛や坐骨神経痛を経験したことのない人を調べた研究でも、画像にヘルニアや背骨の変化がよく見つかっています。大切なのは、画像で見つかった場所と、痛みやしびれの出ている場所が合っているかどうかです。その照らし合わせは医師が行います。そのうえで、画像に写らない筋肉や関節の状態にも目を向けることが大切です。
「MRIでヘルニアがあると言われて、もう治らないのではと不安になった」
「画像のヘルニアは小さいと言われたのに、しびれが強い」
「ヘルニアがあるなら、手術しかないのだろうか」
このようなお悩みをお持ちの方に、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
結論からお伝えします。画像にヘルニアが写っていても、それがいまの坐骨神経痛の原因とは限りません。症状のない人にも、画像の変化はよく見つかるからです。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
当院には、「画像でヘルニアがあると言われた」という方が、坐骨神経痛のご相談でよくお越しになります。画像を見せられて、「これがずっと残るのか」と不安を抱えたまま過ごしておられる方も少なくありません。目に見える形で説明を受けると、なおさら心配になるのは無理もないことです。
このブログでは、画像に写るヘルニアと、坐骨神経痛の症状との関係をお話しします。
なぜ症状がなくても、画像にヘルニアが写ることがあるのでしょうか?
ヘルニアとは、背骨のクッションの役目をしている椎間板(ついかんばん)の中身が、外へ押し出された状態のことです。日本整形外科学会の「腰椎椎間板ヘルニア」のパンフレットによると、ヘルニアは椎間板が傷んで起こります。その原因は、年齢や、繰り返し加わる力だとされています。
1990年に発表された研究があります(Bodenら)。腰痛や坐骨神経痛を一度も経験したことのない67人を、MRIで調べたものです。その結果、およそ3人に1人に、はっきりとした画像の変化が見つかりました。60歳未満では20%にヘルニアがありました。60歳以上では36%にヘルニア、21%に脊柱管狭窄が見つかっています。
その後、33の研究、合わせて3,110人分をまとめた研究も発表されています(Brinjikjiら、2015年)。そこでは、背骨の変化は症状のない人にも高い割合で見られ、年齢とともに増えるとされています。
ここで、白髪を思い出してみてください。年齢を重ねると、白髪は少しずつ増えていきます。けれど、白髪があるからといって、頭が痛くなるわけではありません。
背骨の画像の変化にも、これと似た面があります。年齢とともに、症状のない人にも増えていくものなのです。日本整形外科学会のパンフレットにも、こう書かれています。MRIで椎間板の膨らみなどが見つかっても、症状がなければ多くの場合は問題がない、というものです。
画像と坐骨神経痛の症状は、どのように照らし合わせるのでしょうか?
画像のヘルニアが原因かどうかを考えるときは、画像だけを見るのではありません。日本整形外科学会のパンフレットでは、診断の流れがこう説明されています。脚を伸ばしたまま持ち上げて痛みが出るか、脚の感覚が鈍くなっていないか、筋力が弱くなっていないかを確かめます。そのうえで、レントゲンやMRIで検査を行い、診断が確定します。
防衛医科大学校の千葉一裕教授の解説では、腰の神経の根元のどこが押されているかで、しびれの広がり方が変わるとされています。すねの外側から足の甲なら第5腰神経、ふくらはぎから足の裏なら第1仙骨神経が関わることが多い、というものです。「坐骨神経痛のしびれ、太ももだけか膝から下までかで何がわかるのでしょうか?」で詳しくお話ししています。
つまり、画像でヘルニアが見つかった場所と、痛みやしびれが出ている場所が合っているかどうか。そこが大切な手がかりになります。この照らし合わせは、医師が診察の中で行うものです。気になることは、遠慮せずに主治医の先生にたずねてみてください。
画像に写らないところは、どうなっているのでしょうか?
画像に写るのは、骨や椎間板などの「かたち」です。神経の通り道にある筋肉の硬さや、骨盤や股関節の動き方は、画像には写りません。
画像の状態そのものを、当院が変えることはできません。けれど、筋肉の硬さや関節の動き方には、まだ手を加えられる余地が残っていることがあります。当院では、医療機関での診断を大切にしたうえで、画像に写らないところを一つずつ確かめていきます。「坐骨神経痛と言われたけれど、本当の原因はどこにあるのでしょうか?」で詳しくお話ししています。
坐骨神経痛で、こんなときは医療機関を受診してください
画像の結果に関わらず、次のような場合は、整骨院より先に医療機関を受診してください。以前に「様子を見てよい」と言われていても、症状が変わったときは、あらためて受診してください。
- 脚や足首に力が入らない、つまずきやすくなった
- しびれや力の入りにくさが、日ごとに強くなっている
- おしっこや便が出にくい、または漏れてしまう
- 熱がある、がんの治療を受けたことがある、転んだあとから痛む
日本整形外科学会の「腰椎椎間板ヘルニア」のパンフレットでは、手術が行われる場合も書かれています。痛みが治まらない場合や、脚の脱力、排尿・排便の障害が出てくる場合です。急いで医師の診察が必要な場合があるサインです。
当院でも、初回の問診と検査で、こうしたサインがないかを確認しています。気になるサインが見つかったときは、医療機関への受診をお勧めしています。
坐骨神経痛のために、今日からできることはありますか?
背中をゆっくり動かすには、どうすればよいのでしょうか?


床に両手と両膝をついて、四つんばいになります。息を吐きながら、おへそをのぞき込むように、背中をゆっくり丸めます。次に、息を吸いながら、背中を元の平らな位置に戻します。
これを1回として、5回ほどが目安です。朝起きたときと、夜寝る前の1日2回、行ってみてください。背中は反らしすぎず、平らに戻すところまでで十分です。途中で脚のしびれや痛みが強くなったときは、無理をせず中止してください。
まとめ
- 画像にヘルニアが写っていても、それがいまの坐骨神経痛の原因とは限りません
- 腰痛や坐骨神経痛のない人にも、画像の変化はよく見つかり、年齢とともに増えるとされています
- 大切なのは、画像で見つかった場所と、症状の出ている場所が合っているかどうかです
- 脚の力が抜ける、排尿・排便の異常があるときは、画像の結果に関わらず受診してください
- 四つんばいで背中をゆっくり丸める動きを、1日2回、5回ほど行ってみてください
画像を見せられると、そこに写ったものがすべての原因のように感じてしまうものです。画像は大切な手がかりのひとつですが、それだけで今後が決まるわけではありません。小野市周辺で坐骨神経痛にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
このブログが、坐骨神経痛でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人


作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
- 院のURL:https://kokoro-ono.com/
参考文献・引用元
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」(2024年)https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0007DKA.pdf
- 千葉一裕「坐骨神経痛[私の治療]」Web医事新報(日本医事新報社、2021年。2026年更新)https://jmedj.co.jp/blogs/product/product_18104/
- Boden SD, Davis DO, Dina TS, Patronas NJ, Wiesel SW. Abnormal magnetic-resonance scans of the lumbar spine in asymptomatic subjects. A prospective investigation. J Bone Joint Surg Am. 1990;72(3):403-408.
- Brinjikji W, Luetmer PH, Comstock B, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(4):811-816.




















コメント