

坐骨神経痛のしびれがどこまで届いているかは、どの神経が関わっているかを知る手がかりになります。坐骨神経は膝の上で枝分かれして、膝から下を受け持っています。一方で、太ももの裏の皮膚は、お尻の奥を一緒に通る別の神経が受け持っています。ただし、しびれの範囲だけで原因は決まりません。検査と合わせて確かめていくことが大切です。
「お尻から太ももの裏がしびれるのに、膝から下はなんともない」
「すねの外側から足の甲にかけて、ピリピリとしびれる」
「ふくらはぎから足の裏にかけて、じんじんする」
このようなお悩みをお持ちの方に、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
結論からお伝えします。しびれが届いている範囲は、どの神経が関わっているかを知る大切な手がかりです。膝から下までか、太ももだけかで、考える場所が変わります。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
当院では、初めてお越しになった方に、しびれている場所を指でなぞっていただいています。「このあたりが、なんとなく」と、はっきり示しにくい方も少なくありません。目に見えないしびれを抱えたまま、家事や仕事を続けるのは、本当に大変なことです。
しびれの場所は、ご本人が思っている以上に、たくさんのことを教えてくれます。このブログでは、坐骨神経痛のしびれが「どこまで届いているか」で何がわかるのかをお話しします。
なぜ坐骨神経痛は、しびれの出る場所が人によって違うのでしょうか?
皮膚の感覚は、場所ごとに受け持つ神経が決まっています。どの神経に問題が起きたかによって、しびれの出る場所が変わるのです。「坐骨神経痛と言われたけれど、本当の原因はどこにあるのでしょうか?」で詳しくお話ししています。
坐骨神経(ざこつしんけい)は、腰から出てお尻を通り、太ももの裏を下っていく太い神経です。日本整形外科学会のパンフレットによると、坐骨神経と呼ぶのは膝の上までです。そこから先は、いくつかの神経に分かれて足先まで届いています。つまり、膝から下の感覚は、坐骨神経から分かれた枝が受け持っているのです。
ここで、家のブレーカーを思い出してみてください。台所の電気だけがつかないなら、台所につながる回路を調べます。家じゅうの電気がつかないなら、元のブレーカーを確かめます。どの部屋が暗くなっているかで、どこで電気が止まっているかの見当がつくのです。
しびれも同じです。しびれている場所は、電気がつかない部屋にあたります。その広がり方を見ると、神経のどのあたりで問題が起きているかを考える手がかりになります。


坐骨神経痛のしびれが膝から下に出るとき、どこが関わっているのでしょうか?
膝から下のしびれは、坐骨神経そのものか、そのもとになる腰の神経の根元が関わっていることが多いと考えられています。出方によって、さらに2つに分かれます。
すねの外側から足の甲がしびれるときは?
防衛医科大学校の千葉一裕教授の解説に、坐骨神経痛の広がり方が書かれています。お尻から太ももの裏、さらにすねの外側から足の甲へと広がることがある、というものです。この広がり方は、第5腰神経の根元が関わるときに多いとされています。※第5腰神経とは、腰のいちばん下の骨のあたりから出る神経のことです。
すねの外側から足の甲は、坐骨神経から分かれる総腓骨神経(そうひこつしんけい)の受け持ちでもあります。
ふくらはぎから足の裏がしびれるときは?
同じ解説では、ふくらはぎから足の裏へ広がるしびれは、第1仙骨神経の根元が関わるときに多いとされています。※第1仙骨神経とは、仙骨(せんこつ:骨盤の真ん中にある骨)から出る神経のうち、いちばん上のもののことです。
ふくらはぎから足の裏は、坐骨神経から分かれる脛骨神経(けいこつしんけい)の受け持ちです。
千葉教授の解説によると、坐骨神経痛の多くは、この2つの神経の根元が押さえられて起こるとされています。原因の代表は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症です。
坐骨神経痛で太ももだけがしびれるときは、何が考えられるのでしょうか?
太ももだけにしびれが出ている場合は、坐骨神経とは別の神経が関わっていることがあります。
太ももの裏だけがしびれるときは?
太ももの裏の皮膚は、坐骨神経ではなく、後大腿皮神経(こうだいたいひしんけい)という別の神経が受け持っています。この神経は、お尻の奥で坐骨神経と一緒に、梨状筋(りじょうきん:お尻の奥にある小さな筋肉)のあたりを通り抜けています。
梨状筋症候群と診断された方の、神経の症状を調べた報告があります。そこでは、太ももの裏の後大腿皮神経と、すねの外側の総腓骨神経の症状が多く見られたとされています。
私が学んできた神経学では、太ももの裏に出る症状は、お尻の奥での締めつけを考える手がかりになると教わりました。ただし、この報告でも、太ももの裏とすねの外側の両方に症状が出ている方が多くいました。そのため、太ももだけだから梨状筋の問題、と決めつけることはできません。
太ももの外側から前側だけがしびれるときは?
太ももの外側から前側にかけて、しびれやピリピリした感じだけが出ていることもあります。その場合は、外側大腿皮神経(がいそくだいたいひしんけい)が関わっていることがあります。※外側大腿皮神経とは、腰から出て脚の付け根を通り、太ももの外側の皮膚を受け持つ神経のことです。
アメリカの整形外科の学会誌に載った解説では、この神経の不調は、太ももの前外側のしびれや痛みとして現れるとされています。また、神経が傷みやすいのは、骨盤から出るところが最も多いとされています。坐骨神経とは通り道が違うので、お尻や腰とは別の場所を確かめる必要があります。
しびれの範囲は、あくまで手がかりのひとつです。神経の通り道には個人差があり、いくつかの場所が重なっていることもあります。当院では、しびれの場所に加えて、触れた感覚の左右差や、筋肉や関節の動きを確かめながら、関わっている場所を探していきます。
坐骨神経痛で、こんなときは医療機関を受診してください
千葉教授の解説には、坐骨神経痛はときに重い病気から起こることがある、と書かれています。背骨や神経の腫瘍(しゅよう)、感染、けが、骨粗しょう症による背骨の骨折などです。次のような場合は、整骨院より先に、整形外科などの医療機関を受診してください。
- 足首や足の指に力が入らない、つまずきやすくなった
- しびれや力の入りにくさが、日ごとに強くなっている
- おしっこや便が出にくい、または漏れてしまう
- 熱がある、がんの治療を受けたことがある、転んだあとから痛む
日本整形外科学会の「腰椎椎間板ヘルニア」のパンフレットにも、手術が行われる場合が書かれています。脚の脱力や、排尿・排便の障害が出てくる場合です。急いで医師の診察が必要な場合があるサインです。
当院でも、初回の問診と検査で、こうしたサインがないかを確認しています。気になるサインが見つかったときは、医療機関への受診をお勧めしています。
坐骨神経痛のために、今日からできることはありますか?
しびれの範囲は、日によって変わることがあります。その変化を残しておくと、ご自身でも気づくことが増えます。
しびれの地図は、どのようにつければよいのでしょうか?


紙に、前から見た体と後ろから見た体の、簡単な絵を描きます。棒人間でも構いません。寝る前に1日1回、その日しびれた場所を鉛筆で塗ってください。ピリピリ、じんじん、重だるいなど、感じ方もひと言書き添えます。
まずは1週間続けてみてください。範囲が広がっているのか、狭くなっているのかが、目で見て分かるようになります。医療機関や当院にお越しになるときに持ってきていただくと、お話がスムーズになります。
座るときに、気をつけたいことはありますか?
ズボンの後ろのポケットに財布やスマホを入れたまま座ると、片側のお尻の奥が押され続けることがあります。座る前に、後ろのポケットのものを出す習慣をつけてみてください。車の運転やデスクワークの前に、ひと呼吸おいて確かめるだけで十分です。
まとめ
- 坐骨神経痛のしびれがどこまで届いているかは、どの神経が関わっているかの手がかりになります
- 坐骨神経は膝の上で枝分かれし、膝から下の感覚を受け持っています
- すねの外側から足の甲と、ふくらはぎから足の裏とでは、関わる腰の神経の根元が違うとされています
- 太ももの裏や外側だけのしびれは、坐骨神経とは別の神経のこともあります
- しびれの地図をつけると、範囲の変化が目で見て分かるようになります
しびれは目に見えないぶん、人に伝えにくいものです。「どこが、どんなふうにしびれるか」を言葉や絵にしておくと、原因を探す大きな助けになります。小野市周辺で坐骨神経痛のしびれにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
このブログが、坐骨神経痛でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人


作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
- 院のURL:https://kokoro-ono.com/
参考文献・引用元
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ29 坐骨神経痛」(2025年)https://www.joa.or.jp/public/pdf/joa_029.pdf
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」(2024年)https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0007DKA.pdf
- 千葉一裕「坐骨神経痛[私の治療]」Web医事新報(日本医事新報社、2021年。2026年更新)https://jmedj.co.jp/blogs/product/product_18104/
- 服部潤, 赤羽根良和, 永田敏貢, 齊藤正佳, 栗林純. 梨状筋症候群における神経症状の割合について. 東海北陸理学療法学術大会誌. 2012;28. https://doi.org/10.11529/thpt.28.0_130_2
- Grossman MG, Ducey SA, Nadler SS, Levy AS. Meralgia paresthetica: diagnosis and treatment. J Am Acad Orthop Surg. 2001;9(5):336-344.


















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