こんにちは、兵庫県小野市の完全自費治療専門「こころ鍼灸整骨院」院長の作尾大介です。
「最近、お父さんやお母さんがちょっとした段差でつまずくことが増えた気がする…」「離れて暮らす親が、寒い時期に転んで怪我をしないか心配…」
寒い時期になると、当院にも高齢の親御さんの転倒を心配される方からのご相談が増えます。私も同年代の親がいますので、そのお気持ちはとてもよくわかります。
この記事では、冷えによって高齢者の転倒が増える本当の理由と、離れて暮らす親御さんに電話で伝えられる予防法について、体のメカニズムを交えながら分かりやすく解説します。
結論:親御さんに「3つの温め習慣」を伝えてください
結論からお伝えします。冷えによる転倒を予防するには、「深呼吸」「お風呂とストレッチ」「カイロ」の3つの習慣で、体を温めて血の巡りを高めることが大切です。
- 深呼吸で筋肉の緊張をゆるめる(30分に1回、テレビのCMの間に)
- お風呂とお風呂上がりのストレッチで筋肉の硬さを予防する
- カイロを3ヵ所に貼って手足に血の巡りを届ける
なぜなら、冷えは筋肉をこわばらせ、血の巡りを悪くし、手足の感覚まで鈍らせてしまうからです。どれも特別な道具や技術がいらない、電話で伝えるだけで始められる安全な方法です。まずは1ヶ月、続けられるように声をかけてあげてください。
高齢の親御さんに伝えたい、冷えによる転倒を予防する3つの方法
ポイントは、体を温めること、血の巡りを促すこと、そして体のエネルギーの源である酸素をたくさん取り込むことです。次にお電話されるときや帰省されたときに、ぜひ伝えてあげてください。
方法1. 深呼吸で筋肉の緊張をゆるめる
背中が丸くなり前かがみの姿勢が続くと、呼吸が浅くなって体に取り込む酸素が減り、筋肉へのエネルギー供給が後回しになることがあります。そこで大切なのが深呼吸です。
- 鼻からゆっくり息を吸い、口からさらにゆっくり吐く
- 吸う:吐く=1:2の割合を意識する(例:2秒吸って4秒吐く)
- 30分に1回を目安に。「テレビのCMの間に深呼吸」と伝えると続けやすい
この深呼吸を続けることで、交感神経の高ぶりが落ち着き、筋肉の緊張が和らぎやすくなります。
方法2. お風呂とストレッチで筋肉の硬さを予防する
転倒を予防するためには、ふくらはぎと太ももの裏を伸ばすストレッチが大切です。お風呂で体を温めた後に行うと、筋肉が伸びやすくなります。
- ゆっくり呼吸をしながら、心地よい程度に伸ばす
- 1つのストレッチにつき理想は60〜90秒、忙しければ30秒でも大丈夫
- 椅子に座ったままできるストレッチがおすすめ
帰省されたときに「一緒にやろう」と声をかけると、親御さんも取り組みやすくなります。
方法3. カイロを3ヵ所に貼って手足に血の巡りを届ける
熱は血液によって体の隅々に届けられますので、血管がたくさん通っているところを服の上から温めると効率的です。
- 太ももの裏:膝裏より5センチほど上。足への血流を温める
- 骨盤のお尻の少し上:足の筋肉や足の裏へ血液を届ける血管を温める
- 首の付け根から背中の上:全身に血流を巡らせる。肩こりや頭痛が気になる方にも
「カイロを3ヵ所に貼るだけ」と伝えれば、親御さんも取り入れやすいのではないでしょうか。
なぜ冷えると高齢者の転倒が増えるのか?3つの原因
寒さによって高齢者の転倒が増える背景には、大きく分けて3つの原因が関係しています。
原因1. 冷えで筋肉に力が入りすぎて、体がこわばる
寒くなると、体は「体温を下げてはいけない」と判断して、活動時に働く交感神経が活発になります。すると筋肉がギュッと縮んで、体がこわばってしまいます。寒い朝にグッと肩をすくめて歩いてしまう、あの状態です。
Greaney JLらの研究(2014年)では、全身を冷やしたときの筋肉の交感神経活動は、若年者では変化がなかったのに対し、高齢者では有意に増加したと報告されています。このことから、高齢の方ほど寒さで体に力が入りやすく、とっさの動きに対応しにくくなるのではないかと私は考えています。
原因2. 血の巡りが悪くなり、筋肉が本来の動きをできなくなる
寒さで筋肉が硬くなると、筋肉の中を通っている血管も圧迫されます。例えるなら、ホースを強く握ると水の流れが悪くなるのと同じです。
実は、筋肉は動くときだけでなく、緩むときにもエネルギーが必要で、そのエネルギーを届けているのが血液です。寒さが体に与える影響をまとめたCastellani JWらのレビュー研究(2015年)では、寒い環境では主に筋肉の温度が下がることで、筋力や瞬発力が落ちると述べられています。
原因3. 手足の感覚が鈍くなり、小さな段差に気付けなくなる
氷で手を冷やし続けると、だんだん感覚がなくなった経験はないでしょうか。冷えで足の感覚が鈍くなると、小さな段差に気付けなかったり、ぬかるんだ地面に足を乗せてしまったりして、転倒につながりやすくなります。Ferlinc Aらの研究(2019年)でも、加齢に伴う感覚の低下がバランスの低下と転倒リスクの増加につながると報告されています。
厚生労働省の人口動態調査(2021年)によると、65歳以上の方の転倒・転落・墜落による死亡者数は年間9,509人にのぼり、交通事故による死亡者数(2,150人)の4倍以上です。
- 筋肉のこわばり:交感神経が高ぶり、とっさの動きができない
- 血流の低下:筋肉が本来の柔らかさを失う
- 感覚の鈍化:小さな段差に気付けない
もし転倒してしまったら?早めに相談することが大切です
予防をしていても、転倒が起きてしまうことはあります。高齢者の場合、転倒の衝撃は若い方と比べて体への影響が大きくなりやすいです。「大したことないから大丈夫」と親御さんがおっしゃっても、特に以下のような場合は、できるだけ早く専門家に相談されることをおすすめします。
- 転倒後に腫れや痛みが続いている
- 歩き方がいつもと違う、足を引きずっている
- 転んだ後から手足の冷えがひどくなった
- 転倒の回数が以前より増えている
「ちょっとつまずいただけだから」と放置してしまうと、体をかばう動きが癖になり、別の場所に痛みが出てくることもあります。お電話で様子を聞いて気になることがあれば、「一度診てもらったら?」と声をかけてあげてください。その一言が、大きな怪我を防ぐきっかけになることがあります。
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高齢の親御さんの転倒が心配な方へ
冷えによる転倒には、筋肉のこわばり・血流の低下・感覚の鈍化が関係していると考えられます。だからこそ、体を温めて血の巡りを高める「深呼吸・お風呂とストレッチ・カイロ」の3つの習慣が、予防の助けになると私は考えています。
どれもお電話で伝えるだけで始められる内容です。ぜひ次のお電話のときに「こんな方法があるらしいよ」と伝えて、時々「深呼吸してる?」「カイロ貼ってる?」と声をかけてあげてください。まずは1ヶ月の継続がポイントです。それでも心配が続くときや、親御さんが転倒してしまったときには、お気軽に当院までご相談ください。一緒に対策を考えていきましょう。
なお、転倒のあとに強い痛みや腫れがある場合や、症状が続く場合は、医師の診察が必要な場合があります。そのようなときは、医療機関の受診もご検討ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。皆様とご家族の健康と笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
※施術による体の変化の感じ方には個人差があります。すべての方に同じように感じていただけるとは限りません。
参考文献・出典
- Greaney JL, et al. Muscle sympathetic nerve activity during cold stress and isometric exercise in healthy older adults. J Appl Physiol. 2014;117(6):648-657.
- Castellani JW, Tipton MJ. Cold Stress Effects on Exposure Tolerance and Exercise Performance. Compr Physiol. 2015;6(1):443-469.
- Ferlinc A, et al. The Importance and Role of Proprioception in the Elderly: a Short Review. Mater Sociomed. 2019;31(3):219-221.
- 厚生労働省「人口動態調査」(2021年)
- 厚生労働省「STOP!転倒災害プロジェクト」冬季における転倒防止対策
国家資格保有 柔道整復師・はり師・きゅう師
院長:作尾 大介 監修






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