「最近、寒さで体がガチガチになって、ちょっとした段差でつまずきそうになる…」
「手足が冷えて感覚が鈍くなり、足元がおぼつかない」
「冷えがひどくなってから、腰痛や頭痛まで出てきた気がする」
このような症状でお困りの方に、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
冷えで筋肉が硬くなると転倒しやすい?手足の冷えと腰痛・頭痛を防ぐ3つの方法


こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
先日、1月28日放送の朝の情報番組「DayDay.」(日本テレビ系)で、寒さによる筋肉の硬さが原因で転倒が増えているというニュースが取り上げられていました。
中には、転倒がきっかけで重大な事故につながっているケースもあるとのことです。
この時期、子育てや家事、お仕事で忙しく過ごされている30代〜50代の女性は、冷えによる不調を感じやすい時期かもしれません。
今回は、なぜ寒さで転倒が増えてしまうのか?
そのメカニズムと、冷えによる腰痛や頭痛を含めた不調を和らげる3つの方法をお伝えします。
冷えで筋肉が硬くなり転倒が増える3つのメカニズム
テレビのニュースを見て、「なぜ寒いと転びやすくなるのだろう?」と気になったので、詳しく調べてみました。
寒さによって転倒が増える背景には、大きく分けて3つのメカニズムが関係しています。
この3つのことを知っておくと、転倒を防ぐための工夫もしやすくなると私は考えています。
1. 寒さで交感神経が高まり、筋肉に力が入りすぎてしまう
私たちの体には、活動するときに働く「交感神経」と、リラックスするときに働く「副交感神経」という2つの神経があります。
この2つの神経が協力し合って、体のバランスを保っています。
寒くなると、体は「体温を下げてはいけない」と判断して、交感神経の働きが活発になります。
体温が34度以下になると生命に関わるため、体を動かして熱を作ろうとするのです。
交感神経が活発になると、筋肉はギュッと縮み、心拍数や血圧も上がります。
寒い日に体がこわばって力が入ってしまう、あの感覚です。
例えば、寒い朝にグッと肩をすくめて歩いていることはありませんか。
筋肉に必要以上に力が入ってしまうと、体をしなやかに動かすことが難しくなり、とっさの動きに対応できなくなってしまいます。


2. 冷えで血の巡りが悪くなり、筋肉が本来の動きをできなくなる
寒さによって筋肉が硬くなると、筋肉の中を通っている血管も圧迫されて、血の巡りが悪くなります。
例えるなら、ホースを強く握ると水の流れが悪くなるのと同じです。
筋肉がガチガチに硬くなると、血管が押さえつけられて、血液がスムーズに流れなくなってしまいます。
実は、筋肉は動くときだけでなく、筋肉が緩むときにもエネルギーが必要です。
そのエネルギーを届けているのが血液です。
血の巡りが悪くなると、筋肉に十分なエネルギーが届かなくなり、筋肉は本来の柔らかさやしなやかさを失ってしまいます。
その結果、立ち上がったり、とっさに踏ん張ったりする動きがしにくくなるのです。
さらに、血の巡りの悪さは腰痛や肩こり、頭痛の原因の一つにもなると考えられています。
筋肉に十分な酸素と栄養が届かないことで、あちこちに不調が出やすくなってしまいます。
参考文献:
Farbu EH, et al. Cold exposure and musculoskeletal conditions; A scoping review. Front Physiol. 2022;13:934163.
引用箇所: “Cold temperature caused decreased muscle power and contraction velocity, increased stiffness of tendons, as well as decreased nerve conductivity.”
日本語訳: 低温環境は筋力と収縮速度の低下、腱の硬さの増加、さらに神経伝導速度の低下を引き起こした
3. 冷えで足の感覚が鈍くなり、段差に気付きにくくなる
3つ目は、冷えによって足の感覚が鈍くなることです。
氷で手足を冷やし続けると、だんだん感覚がなくなってきた経験はないでしょうか。
冷やした側の指先をピンでつついても痛みをほとんど感じなくなりますが、冷やしていない側はしっかりと痛みを感じます。
この痛みの感覚は「痛覚(つうかく)」と呼ばれます。
私たちが裸足で石を踏んだときに「痛い」と感じるのも、この痛覚のおかげです。
痛みがあるからこそ、体を正確に使うことができています。
冷えによって足の感覚が鈍くなると、小さな段差に気付きにくくなったり、ぬかるんだ地面に足を乗せてしまったりして、転倒につながりやすくなります。
厚生労働省の調査によると、65歳以上の方の転倒による死亡者数は年間9,509人にのぼり、交通事故による死亡者数(2,150人)の4倍以上となっています。
冬場は特に転倒事故が多く、1月は他の月と比較して労働災害の発生件数が大幅に増えるとの報告もあります。
参考文献:
厚生労働省「人口動態調査」(2021年)
厚生労働省「STOP!転倒災害プロジェクト」冬季における転倒防止対策
Ferlinc A, et al. The Importance and Role of Proprioception in the Elderly: a Short Review. Mater Sociomed. 2019;31(3):219-221.
引用箇所: “With the loss of proprioception during aging, the biomechanics of joints and the neuromuscular control of the limbs may change, resulting in impaired balance and a higher possibility of falls.”
日本語訳: 加齢に伴う固有受容感覚の低下により、関節のバイオメカニクスや四肢の神経筋制御が変化し、バランスの低下と転倒リスクの増加につながる
冷えによる転倒や不調を防ぐ3つの方法
では、このような寒さによる転倒や不調を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
ポイントは体を温めること、血の巡りを促すこと、そして体のエネルギーの源である酸素をたくさん取り込むことです。
酸素と栄養をたっぷり含んだ血液をしっかり巡らせることで、足の感覚を保ち、筋肉の硬さを和らげ、交感神経の高まりを落ち着かせていくことが期待できます。
とても簡単にできることなので、ブログをお読みの方のお役に立てれば嬉しく思います。
方法1. 深呼吸で自律神経を整え、体の緊張をゆるめる


背中が丸くなったり、前かがみの姿勢が続くと、足が上がりにくくなり、段差につまずきやすくなります。
また、背中が丸まった姿勢では、呼吸が浅くなってしまいます。
私たちの体は、息を吸うたびにお腹や背中、胸がふくらみ、息を吐くたびにしぼむ仕組みになっています。
ところが、前かがみの姿勢では背中の筋肉が張り、お腹にはシワが寄ってしまい、この呼吸の動きが妨げられてしまうのです。
マスクを1枚つけるだけで疲れやすくなった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
呼吸が少しでも妨げられると、体に取り込む酸素の量が減ってしまい、体を動かすために必要なエネルギーを十分に作れなくなります。
すると、体はなるべくエネルギーを節約しようとします。
生きていくために必要な内臓や脳の働きが優先され、筋肉や皮膚、髪の毛といった部分は後回しになってしまうことがあります。
そこで大切なのが深呼吸です。
やり方:
①鼻からゆっくり息を吸います
②口からさらにゆっくり息を吐きます
吸う:吐く=1:2の割合を意識します(例:2秒吸って4秒吐く)
30分に1回を目安に行ってみてください
この深呼吸を続けることで、交感神経の高ぶりが落ち着き、副交感神経の働きが整いやすくなると考えています。
本来、私たちの体は交感神経と副交感神経の両方がバランスよく働き、少し副交感神経が優位な状態が理想です。
この状態が、体にゆとりを持って生活できている状態だといえます。
方法2. お風呂とストレッチで筋肉の硬さを和らげる


筋肉が硬くなってしまうと、立ち上がる動作やとっさに踏ん張る動作がしにくくなります。
また、筋肉がしっかり動くことで代謝が活性化し、エネルギーをたくさん作ることができますが、硬いままではその働きも低下してしまいます。
そこでおすすめなのが、お風呂にゆっくりつかることと、お風呂上がりの簡単なストレッチです。
転倒を予防するためのストレッチとしては、ふくらはぎと太ももの裏を伸ばすストレッチが大切です。
ストレッチのポイント:
ゆっくり呼吸をしながら、心地よい程度に筋肉を伸ばしてください
1つのストレッチに対して、理想は60秒〜90秒ほど
お忙しい方は30秒間でも大丈夫です
ふくらはぎと太ももの裏を伸ばすことを意識してみてください
お風呂で体を温めた後にストレッチをすると、筋肉が伸びやすくなるのでおすすめです。
方法3. カイロで体を温め、血の巡りを足先まで届ける
体を温めることで、筋肉や足の感覚を司るセンサーにしっかり血液を届けることができます。
足の甲の指の間には「八風(はっぷう)」というツボがあり、冷えの予防に良いとされています。
体を温める方法として、私はカイロを使うことをおすすめしています。
熱は血液によって体の隅々に届けられていますので、血管がたくさん通っているところを狙って温めると効率的です。
おすすめのカイロの貼り方(服の上から貼ってください):


① 太ももの裏(膝裏の少し上あたり)
膝の裏そのものにカイロを貼ると曲げ伸ばしの制限が出てしまうので、膝裏より5センチほど上の部分に貼ってみてください。足への血流を温めることができます。
② 骨盤のお尻の少し上あたり
この部分にカイロを貼ると、足の筋肉や足の裏に血液を届けている血管を効率よく温めることができます。
③ 首の付け根から背中の上あたり
ここにカイロを貼ることで、全身に血流を巡らせやすくなります。頭痛や肩こりが気になる方にもおすすめです。
冷えによる転倒や腰痛・頭痛の予防は1ヶ月の継続がポイント
この3つの方法を、まずは1ヶ月ほど継続してみてください。
冷えによる足の感覚の低下を和らげて転倒を防ぐことに加えて、冷えによる節々の痛みや腰痛、頭痛といった不調の予防にも、お役に立てるかもしれません。
冷えによる転倒や女性の腰痛・頭痛でお悩みの方へ|まとめ
今回は、朝の情報番組「DayDay.」で取り上げられていた「寒さによる筋肉の硬さと転倒の増加」をきっかけに、冷えが体に与える影響と予防法についてお伝えしました。
この記事のポイント:
・寒さで交感神経が高まり、筋肉に力が入りすぎて体がこわばる
・血の巡りが悪くなり、筋肉が本来の柔らかさを失ってしまう
・足の感覚が鈍くなり、小さな段差でもつまずきやすくなる
・深呼吸で自律神経を整える(30分に1回、吸う:吐く=1:2)
・お風呂とストレッチで筋肉の硬さを和らげる(ふくらはぎ・太もも裏)
・カイロで体を温め、血の巡りを足先まで届ける(太もも裏・骨盤・首の付け根)
冷えは「体質だから仕方がない」と思われがちですが、日々のちょっとした心がけで和らげる工夫ができると私は考えています。
まずは1ヶ月、今回ご紹介した3つの方法を試してみてください。
それでも冷えやつらさが続くときには、体の内側に別の原因が隠れているかもしれません。
症状が続く場合や強い場合は、医師の診察が必要な場合があります。まずは医療機関にご相談いただくことも考えてみてください。
そのうえで、お気軽に当院までご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆様の健康と笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
個人差に関する注記:
※施術による体の感じ方には個人差があります。
参考文献・出典:
Farbu EH, et al. Cold exposure and musculoskeletal conditions; A scoping review. Front Physiol. 2022;13:934163.
Ferlinc A, et al. The Importance and Role of Proprioception in the Elderly: a Short Review. Mater Sociomed. 2019;31(3):219-221.
厚生労働省「人口動態調査」(2021年)
厚生労働省「STOP!転倒災害プロジェクト」冬季における転倒防止対策
(監修 柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)

















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