

坐骨神経痛のときに、じっと安静にしている必要はないと考えられています。複数の研究をまとめた報告があります。坐骨神経痛の方に「安静に」と伝えても、「ふだんどおり動いて」と伝えても、痛みにほとんど差がなかったとされています。当院では、痛みの出ない範囲で、ふだんの生活を続けることをお勧めしています。ただし、脚の力が抜ける、排尿・排便に異常があるといったときは、まず医療機関を受診してください。
「坐骨神経痛と言われてから、動くのが怖くて家にこもりがちになった」
「歩いたほうがいいのか、寝ていたほうがいいのか分からない」
「少し動くと痛むので、悪化させてしまわないか心配」
このようなお悩みをお持ちの方に、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
結論からお伝えします。坐骨神経痛のときに、じっと安静にしている必要はありません。痛みの出ない範囲で、ふだんの生活を続けることが大切です。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
坐骨神経痛のご相談では、「動いてもいいのでしょうか」と聞かれることがよくあります。痛みやしびれがあると、動くたびに悪くなるのではないかと心配になるものです。どうすればよいのか分からないまま過ごすのは、本当に不安なことです。
このブログでは、坐骨神経痛のときに安静にしたほうがよいのか、それとも動いたほうがよいのかをお話しします。
なぜ坐骨神経痛のとき、安静にしすぎないほうがよいのでしょうか?
国際的な医学の研究をまとめる「コクラン」という団体が、この問いについての研究をまとめています(Dahmら、2010年)。急な腰痛や坐骨神経痛の方に、「ベッドで安静に」と伝えた場合と、「ふだんどおり動いて」と伝えた場合を比べたものです。
その結果、坐骨神経痛の方では、どちらの伝え方でも、痛みの和らぎ方にほとんど差がなかったとされています。急な腰痛の方では、動くように伝えたほうが、痛みや体の動きがわずかに良かったと報告されています。つまり、坐骨神経痛だからといって、じっと寝ていなければならないわけではないのです。
ここで、長いあいだ乗らずに置いておいた自転車を思い出してみてください。チェーンが固まって、ペダルが重くなっています。久しぶりに動かそうとすると、ギシギシと音がすることもあります。
体も、これと似ているところがあります。動かさない時間が長く続くと、関節や筋肉は硬くなりやすくなります。当院では、体を動かして足の裏や脚の感覚を使うことは、神経の働きを保つうえでも大切だと考えています。「坐骨神経痛が、抱っこや床座りのあとに強くなるのはなぜでしょうか?」で詳しくお話ししています。
坐骨神経痛のとき、どこまで動いてよいのでしょうか?
目安は、「痛みが出ない範囲」です。次のような動きは、ふだんどおり続けて構いません。
- 痛みが出ない範囲の、家事や買い物
- 痛みが出ない範囲の、散歩や軽い体操
- 痛みが出ない範囲の、お仕事
反対に、次のようなときは、その動きをいったん控えてください。
- 動いている最中に、痛みやしびれがはっきり強くなる
- 動いたあとや翌朝に、いつもより痛みやしびれが強く残っている
動いたあとや翌朝の様子まで見るのは、その場では大丈夫でも、あとから痛みやしびれが出てくることがあるからです。このようなときは、その動きの量を減らすか、やり方を変えてみてください。当院でも、運動のあとに症状が強くなるようでしたら、その運動はいったん控えていただくようお伝えしています。迷ったときは、お気軽にご相談ください。
痛みが強い日は、どう過ごせばよいのでしょうか?
痛みが強くて動けない日は、無理をする必要はありません。楽な姿勢で休んでください。少し落ち着いてきたら、トイレや食事など、身の回りのことから少しずつ動いてみてください。休む日があっても、ずっと寝たままにしないことが大切です。
坐骨神経痛で、こんなときは医療機関を受診してください
日本整形外科学会のパンフレットでは、坐骨神経痛の原因となる病気はたくさんあるとされています。動いてよいかどうかを考える前に、次のような場合は、整骨院より先に医療機関を受診してください。
- 脚や足首に力が入らない、つまずきやすくなった
- しびれや力の入りにくさが、日ごとに強くなっている
- おしっこや便が出にくい、または漏れてしまう
- 熱がある、がんの治療を受けたことがある、転んだあとから痛む
日本整形外科学会の「腰椎椎間板ヘルニア」のパンフレットには、手術が行われる場合も書かれています。脚の脱力や、排尿・排便の障害が出てくる場合です。急いで医師の診察が必要な場合があるサインです。
当院でも、初回の問診と検査で、こうしたサインがないかを確認しています。気になるサインが見つかったときは、医療機関への受診をお勧めしています。
坐骨神経痛のために、今日からできることはありますか?
歩く時間は、どのように増やしていけばよいのでしょうか?


まずは、痛みが出ない範囲で、5分だけ歩いてみてください。家の近所を、いつもよりゆっくりのペースで構いません。
歩いた日の夜と翌朝に、痛みやしびれが強くなっていないかを確かめます。強くなっていなければ、次の日は1〜2分だけ延ばしてみてください。強くなっていたら、次の日は同じ時間か、少し短くします。
まずは2週間ほど、この調子で続けてみてください。カレンダーに歩いた時間を書いておくと、少しずつ延ばせていることが目で見て分かります。
まとめ
- 坐骨神経痛のときに、じっと安静にしている必要はないと考えられています
- 研究のまとめでは、「安静に」と「ふだんどおり動いて」で、痛みにほとんど差がなかったとされています
- 目安は「痛みが出ない範囲」です。動いたあとや翌朝に強く残る動きは、いったん控えてください
- 脚の力が抜ける、排尿・排便の異常があるときは、まず医療機関を受診してください
- 5分の散歩から始めて、翌朝の様子を見ながら1〜2分ずつ延ばしてみてください
痛みがあると、動くこと自体が怖くなってしまうのは無理もないことです。「痛みが出ない範囲で、少しずつ」を合言葉に、できることから続けていただければ幸いです。小野市周辺で坐骨神経痛にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
このブログが、坐骨神経痛でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人


作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
- 院のURL:https://kokoro-ono.com/
参考文献・引用元
- Dahm KT, Brurberg KG, Jamtvedt G, Hagen KB. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(6):CD007612.
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ29 坐骨神経痛」(2025年)https://www.joa.or.jp/public/pdf/joa_029.pdf
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」(2024年)https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0007DKA.pdf



















コメント