

座ると楽になり、立ったり歩いたりするとつらくなる坐骨神経痛があります。これは、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)に多い出方です。前かがみで楽になるのも特徴のひとつとされています。一方、重いものを持つと痛みが強くなる場合は、腰椎椎間板ヘルニアのこともあります。ただし、姿勢による違いだけで原因は決まりません。症状と画像を合わせて、医師が判断するものです。
「スーパーで立っていると脚がしびれてきて、カートにもたれると楽になる」
「台所に立つとつらいのに、椅子に座るとすっと楽になる」
「少し歩くと休みたくなるけれど、休むとまた歩ける」
このようなお悩みをお持ちの方に、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
結論からお伝えします。座ると楽になり、立つ・歩くとつらくなる坐骨神経痛は、腰部脊柱管狭窄症に多い出方です。姿勢による違いは、原因を考える大切な手がかりになります。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
坐骨神経痛のご相談では、「座っていれば平気なのに、立つとつらい」というお話をよく伺います。台所仕事も買い物も、立ったり歩いたりしなければできません。毎日の家事のたびに脚のしびれと付き合うのは、本当に大変なことです。
このブログでは、坐骨神経痛が座ると楽か、立つと楽かで何がわかるのかをお話しします。
なぜ座ると楽になる坐骨神経痛があるのでしょうか?
腰の骨の中には、脊柱管(せきちゅうかん)という神経の通り道があります。背骨や椎間板、関節、靭帯(じんたい)などに囲まれたトンネルです。日本整形外科学会の「腰部脊柱管狭窄症」のパンフレットによると、長い年月の間に、これらの組織は変形していきます。その結果、脊柱管が狭くなることがあるとされています。
同じパンフレットには、脊柱管は前かがみで広くなり、神経への圧迫が和らぐと書かれています。座ったり、前かがみになったりすると楽になるのは、このためだと考えられています。反対に、立ったり歩いたりすると、腰がまっすぐ伸びて、通り道が狭くなりやすくなります。
ここで、掃除機の蛇腹(じゃばら)のホースを思い出してみてください。片側に曲げると、曲げた内側のひだが寄り集まって、すき間が狭くなります。反対側に曲げれば、ひだが開いて、すき間が広がります。
腰の神経の通り道も、これと似たところがあります。姿勢によって通り道の広さが変わるため、同じ坐骨神経痛でも、座ると楽になる方がいるのです。
坐骨神経痛は、姿勢による違いで何がわかるのでしょうか?
座ると楽で、立つ・歩くとつらいときは?
日本整形外科学会のパンフレットでは、腰部脊柱管狭窄症の特徴として、次の点が挙げられています。症状が立つ・歩くことで悪化し、座る・前かがみで軽くなる、というものです。
歩いているうちに脚の痛みやしびれが出てきて、休むとまた歩けるようになることもあります。これを間欠跛行(かんけつはこう)と呼び、腰部脊柱管狭窄症に特有の症状とされています。
アメリカの医学雑誌に載った研究のまとめ(Suriら、2010年)でも、同じことが示されています。「座ると痛みがない」「前かがみで症状が楽になる」は、腰部脊柱管狭窄症を強く疑う手がかりとされています。
重いものを持つと痛みが強くなるときは?
日本整形外科学会の「腰椎椎間板ヘルニア」のパンフレットにも、痛みが強くなる場面が書かれています。重いものを持ったりすると、痛みが強くなることがあるというものです。※腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨のクッションの役目をしている椎間板の中身が飛び出して、神経を押さえる状態のことです。
姿勢による違いだけで、原因は決まるのでしょうか?
姿勢による違いは、あくまで手がかりのひとつです。2010年のまとめでも、診断には、症状と画像の検査結果の両方が必要だとされています。
また、日本整形外科学会のパンフレットには、似た症状が出る別の病気も書かれています。脚の動脈がつまって、血の流れが悪くなったときです。歩くと脚がつらくなるからといって、自己判断で決めつけないことが大切です。「坐骨神経痛で、すぐに病院へ行ったほうがよいのはどんなときでしょうか?」で詳しくお話ししています。
当院では、症状の出る場面を伺ったうえで、触れた感覚の左右差や、筋肉や関節の動きを確かめていきます。
坐骨神経痛で、こんなときは医療機関を受診してください
次のような場合は、整骨院より先に、整形外科などの医療機関を受診してください。
- 脚や足首に力が入らない、つまずきやすくなった
- 歩ける距離が、日ごとに短くなっている
- おしっこや便が出にくい、または漏れてしまう
- 熱がある、がんの治療を受けたことがある、転んだあとから痛む
日本整形外科学会の「腰部脊柱管狭窄症」のパンフレットでは、手術が検討される場合も書かれています。歩けない状態が進む場合や、排尿・排便の障害が出て、日常生活に大きな支障がある場合です。防衛医科大学校の千葉一裕教授の解説でも、坐骨神経痛はときに、腫瘍や感染などの重い病気から起こることがあるとされています。急いで医師の診察が必要な場合があります。
当院でも、初回の問診と検査で、こうしたサインがないかを確認しています。気になるサインが見つかったときは、医療機関への受診をお勧めしています。
坐骨神経痛のために、今日からできることはありますか?
台所に長く立つときは、どうすればよいのでしょうか?


台所に長く立つときは、足元に高さ10cmほどの低い踏み台や、厚めの本を置いてみてください。片足をその上にのせて立つと、腰がまっすぐ伸びきりにくくなります。10分ほどしたら、のせる足を左右入れ替えます。
買い物のときに、できる工夫はありますか?
買い物のときは、カートを押して歩いてみてください。日本整形外科学会のパンフレットでも、つえやシルバーカーを押して腰をかがめると、脚の痛みが楽になると書かれています。
ただし、腰をかがめた姿勢を長い時間続けるのは勧められない、とも書かれています。楽になったら、ときどき背すじを伸ばして休んでください。
まとめ
- 座ると楽で、立つ・歩くとつらい坐骨神経痛は、腰部脊柱管狭窄症に多い出方です
- 腰の神経の通り道は、前かがみで広くなり、圧迫が和らぐとされています
- 重いものを持つと痛みが強くなる場合は、椎間板ヘルニアのこともあります
- 姿勢による違いだけで原因は決まりません。脚の血管の病気でも似た症状が出ることがあります
- 台所では低い踏み台に片足をのせ、買い物ではカートを押してみてください
座ると楽になるのに立つとつらい、というのは、周りの人には分かってもらいにくい悩みです。症状の出る場面を知っておくことが、原因を探す第一歩になります。小野市周辺で坐骨神経痛にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
このブログが、坐骨神経痛でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人


作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
- 院のURL:https://kokoro-ono.com/
参考文献・引用元
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ8 腰部脊柱管狭窄症」(2024年)https://www.joa.or.jp/public/pdf/joa_008.pdf
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」(2024年)https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0007DKA.pdf
- 千葉一裕「坐骨神経痛[私の治療]」Web医事新報(日本医事新報社、2021年。2026年更新)https://jmedj.co.jp/blogs/product/product_18104/
- Suri P, Rainville J, Kalichman L, Katz JN. Does this older adult with lower extremity pain have the clinical syndrome of lumbar spinal stenosis? JAMA. 2010;304(23):2628-2636.



















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