

坐骨神経痛の多くは、腰の骨や神経のまわりの問題から起こります。けれど、ときに重い病気が隠れていることがあります。脚に力が入らない、しびれや力の入りにくさが日ごとに強くなる、おしっこや便の出方が変わった。こうしたときは、整骨院より先に医療機関を受診してください。熱がある、がんの治療歴がある、転んだあとから痛むときも同じです。
「しびれだけで病院に行ってもいいのか、迷ってしまう」
「最近、歩いているとスリッパが脱げやすくなった」
「整骨院と整形外科、どちらに先に行けばいいのか分からない」
このようなお悩みをお持ちの方に、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
結論からお伝えします。脚の力が抜けてきた、おしっこや便の出方が変わった、日ごとに悪くなっている。このようなときは、整骨院より先に医療機関を受診してください。
こんにちは、兵庫県小野市でこころ鍼灸整骨院を開業しています院長の作尾大介です。
坐骨神経痛のご相談では、「こんなことで病院に行っていいのか分からなかった」というお話をよく伺います。痛みやしびれを抱えながら、どこに相談すればよいのか迷い続けるのは、本当に心細いことです。迷うのは無理もないことです。
このブログでは、坐骨神経痛で急いで受診したほうがよいサインと、受診先の選び方をお話しします。当院でも、初めてお越しになった方には、これからお伝えするサインがないかを確認しています。
なぜ坐骨神経痛で、医療機関の受診が必要なことがあるのでしょうか?
坐骨神経痛は、ひとつの病気の名前ではありません。お尻から脚にかけての痛みやしびれを、まとめて呼ぶ名前です。日本整形外科学会のパンフレットでも、原因となる病気はたくさんあると書かれています。「坐骨神経痛と言われたけれど、本当の原因はどこにあるのでしょうか?」で詳しくお話ししています。
その多くは、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、腰の骨や神経のまわりの問題です。けれど、同じパンフレットには、ほかの原因も挙げられています。腰の骨や骨盤のまわりの腫瘍(しゅよう)、がんの転移、帯状疱疹(たいじょうほうしん)などです。
防衛医科大学校の千葉一裕教授の解説にも、坐骨神経痛はときに重い病気から起こることがある、と書かれています。背骨や神経の腫瘍、感染、けが、骨粗しょう症による背骨の骨折などです。
車のエンジンの警告ランプを思い出してみてください。ランプがつく理由の多くは、ちょっとした不具合です。けれど、ランプの色や点き方によっては、すぐに車を止めて点検しなければならないこともあります。
坐骨神経痛も同じです。脚の痛みやしびれという「ランプ」は同じでも、その裏にある原因はさまざまです。だからこそ、すぐに止まって確かめるべきサインを知っておくことが大切なのです。
日本整形外科学会のパンフレットには、こうも書かれています。診断がつかないまま長い期間、マッサージや注射だけで様子を見るのは勧められない、ということです。
坐骨神経痛で、こんなときは医療機関を受診してください
次のようなサインがあるときは、整骨院より先に、整形外科などの医療機関を受診してください。急いで医師の診察が必要な場合があります。
脚や足首に、力が入らなくなってきたときは?
- つま先が上がらず、平らな所でつまずく
- 歩いていると、スリッパが脱げやすい
- 足首や足の指に力が入らない
- しびれや力の入りにくさが、日ごとに強くなっている
日本整形外科学会の「腰椎椎間板ヘルニア」のパンフレットには、手術が行われる場合も書かれています。脚の脱力や、排尿・排便の障害が出てくる場合です。千葉教授の解説でも、腰の神経が急に強く押さえられることがあるとされています。そのために脚の力が抜ける症状が進んでいく場合は、緊急の手術が必要な状態です。
おしっこや便の出方が、変わったときは?
- おしっこが出にくい、出しきれない感じがする
- 便が出にくい、または漏れてしまう
腰の神経が急に強く押さえられると、膀胱(ぼうこう)や直腸の働きが乱れることがあります。千葉教授の解説では、これも緊急の手術が必要な状態とされています。脚の痛みやしびれと一緒に、トイレの変化に気づいたときは、すぐに受診してください。
熱がある、がんの治療歴がある、転んだあとから痛むときは?
- 熱があり、腰や背中の痛みも続いている
- がんの治療を受けたことがある
- 転んだり、尻もちをついたりしたあとから痛み始めた
- 骨粗しょう症と言われたことがあり、急に腰や背中が痛くなった
千葉教授の解説にある、腫瘍、感染、けが、骨粗しょう症による背骨の骨折が隠れていないかを、確かめておく必要があります。
痛む場所に、帯のような発疹(ほっしん)が出ているときは?
日本整形外科学会のパンフレットでは、坐骨神経に沿った強い痛みと発疹がある場合について書かれています。その場合は、帯状疱疹という皮膚科の病気だとされています。帯状疱疹とは、ウイルスによって神経が傷み、強い痛みのあとに発疹が出る病気のことです。この場合は、皮膚科を受診してください。
脚の付け根が痛む、お腹まわりの張りも気になるときは?
同じパンフレットには、坐骨神経痛のような痛みを出しながら、別の病気が原因になっていることもあると書かれています。例として、股関節の病気(変形性股関節症)や、大きな子宮筋腫が挙げられています。脚の付け根の痛みや、お腹まわりの張りが一緒にあるときは、医療機関で確かめてもらってください。
坐骨神経痛で受診するときは、何科へ行けばよいのでしょうか?
まずは整形外科が基本です。日本整形外科学会のパンフレットでは、検査を進めるときは、まず多い腰の病気を考えるとされています。そのうえで、レントゲンやMRIなどを行います。痛む場所に発疹が出ているときは、皮膚科を受診してください。
受診のときは、次のことを伝えると、お話がスムーズになります。
- いつから、どこが、どんなふうに痛むか、しびれるか
- 何をすると強くなり、何をすると楽になるか
- 脚の力の入りにくさや、トイレの変化があるか
当院でも、初回の問診で、おしっこや便の出方の変化を伺います。検査では、足首や足の指の力、触れた感覚の左右差などを確かめています。気になるサインが見つかったときは、医療機関への受診をお勧めしています。
坐骨神経痛のために、今日からできることはありますか?
脚の力が抜けていないかは、どのように確かめればよいのでしょうか?


毎朝1回、壁や台所のカウンターに手を添えて、2つの立ち方を確かめてみてください。
1つ目は、かかと立ちです。つま先を上げて、かかとだけで5秒立ちます。2つ目は、つま先立ちです。かかとを上げて、つま先だけで5秒立ちます。どちらも、左右の足で同じようにできるかを見てください。
前の日よりも立ちにくくなっている、片側だけ明らかに立てない、といった変化があるときは、早めに医療機関を受診してください。転ばないように、壁やカウンターにつかまって行ってください。痛みやしびれが強くなるときは、無理をせず中止してください。
まとめ
- 坐骨神経痛の多くは腰のまわりの問題から起こりますが、ときに重い病気が隠れています
- 脚や足首の力が抜ける、日ごとに強くなるときは、整骨院より先に医療機関へ
- おしっこや便の出方が変わったときは、すぐに受診してください
- 熱、がんの治療歴、転んだあとの痛み、帯のような発疹があるときも、まず医師の診察を
- 毎朝のかかと立ち・つま先立ちで、脚の力の変化に気づきやすくなります
坐骨神経痛は、つらくても「もう少し様子を見よう」と我慢を重ねてしまいがちです。気になるサインがないことを確かめてから、安心してケアに取り組んでいただければ幸いです。小野市周辺で坐骨神経痛にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
このブログが、坐骨神経痛でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。
最後までブログをお読みいただき、ありがとうございました。皆様の健康と、笑顔あふれる毎日を心よりお祈りしております。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 作尾大介)
この記事を書いた人


作尾 大介(さくお だいすけ)
- 資格:柔道整復師・はり師・きゅう師(いずれも国家資格)
- 施術歴:2005年より20年以上
- 得意分野:頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、五十肩など、長引く慢性的な痛みと体の不調
- 所属院:こころ鍼灸整骨院(兵庫県小野市中町278-3 ひかりハイツ101)
- 院のURL:https://kokoro-ono.com/
参考文献・引用元
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ29 坐骨神経痛」(2025年)https://www.joa.or.jp/public/pdf/joa_029.pdf
- 公益社団法人日本整形外科学会「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」(2024年)https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0007DKA.pdf
- 千葉一裕「坐骨神経痛[私の治療]」Web医事新報(日本医事新報社、2021年。2026年更新)https://jmedj.co.jp/blogs/product/product_18104/

















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